不動産登記とは?概要・未登記のリスク・費用などをわかりやすく解説
不動産の売買や相続をするには、「不動産登記」をしなければなりません。
しかし不動産登記は日常的に関わるものではなくご存じない方は多いです。
そこで今回は、不動産登記とは何か?費用はどれくらいかかるのか?などについてわかりやすく解説します。
登記をしなかった場合のリスクについても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください!
目次
不動産登記とは
不動産登記とは、土地や建物が誰のものであるかを明確化させるためのものです。
「不動産登記申請手続」と呼ばれる手続きを行うことで、法務局が管理する帳簿に「どこのどんな不動産なのか」「所有者は誰か」「どの金融機関から融資を受けているのか」などの情報が記録されます。
これが不動産登記です。
手数料を支払えば誰でも「登記簿謄本(登記事項証明書)」が交付され、この書類から登記内容を閲覧することができます。
なお、不動産の登記簿謄本には大きく分けて「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」の3種類があります。
表題部
表題部とは、不動産の所在や構造など物理的な情報が記載されている部分です。
具体的には以下のような情報が明記されます。
・土地の場合:所在、地番、地目(宅地や畑など)、面積など・建物の場合:所在、家屋番号、建物の種類(居宅や店舗など)、構造、床面積など
権利部(甲区・乙区)
権利部(甲区)には、不動産の所有権について以下の情報が明記されています。
・所有者の氏名・所有者の住所
・不動産を取得した日付
・不動産を取得した原因(売買や相続など)
所有者がいつ・どんな経緯で不動産を取得したのかという、所有権に関わるおおまかな情報です。
不動産の差し押さえを受けた場合は、その内容も甲区に記載されます。
一方、権利部(乙区)では所有権以外(抵当権・地上権・地役権など)でどんな権利を持っているのかが記載されています。
乙区に何らかの権利が登記されていると、不動産を購入しても利用が制限されることがあります。
不動産登記は必要?しないとどうなるのか
結論から述べると、表題部については未登記のままだと罰則が課せられます。
(参考:不動産登記法 | e-Gov法令検索 不動産登記法36条、47条1項)
新築の建物や未登記の土地・建物は、所有権を取得してから1ヵ月以内に不動産登記をしないと10万円以下の過料が発生するため注意が必要です。
権利部については未登記でも罰則はなく、任意での登記となります。
しかし、権利部を登記していないと所有権の主張ができないことから以下のようなデメリットが生じます。
・登記簿上の所有者でないと売買や賃貸をしようにも買い手がつかない・不動産を担保に融資を受けることができない
・公共事業の用地取得に影響がおよび、都市計画や地方開発計画を遅らせる
売買や賃貸については、権利部を登記しなくても法律上は可能とされています。
しかし、一般的に第三者は「登記簿上に権利がない人なのに不動産を売ろうとしている…」と不安を覚えるため、買い手がつかない可能性が高いのです。
そもそも不動産登記はどんなときに必要なのか
不動産登記を行うシチュエーションは様々ですが、代表的なものとしては以下が挙げられます。
・所有不動産の売却または不動産を購入した場合・親族から不動産を相続した場合
・住所や姓が変更した場合
・住宅ローンを完済した場合
一口に不動産登記と言っても「建物の表題登記」や「所有権の移転登記」、「住所・氏名の変更登記」など登記の種類は複数あり、シチュエーションごとにどんな登記をすべきかが異なります。
表題登記に関しては所有権の取得から1ヵ月以内という期限がありますが、他の登記は特に期限は定められていません。
とはいえ、登記をしないと先述したデメリットが生じるため早めに済ませましょう。
不動産登記の費用と方法について
不動産登記の方法としては、司法書士や土地家屋調査士へ手続きを依頼するケースが一般的です。
その場合にかかる費用は。大きく分けて「登録免許税」と「報酬」で構成されます。
登録免許税は登記をすることに対して課される税金のことで、登記の種類によって税率が変わります。
登記の種類 | 税率 |
所有権移転登記
(土地または中古の建物を購入した場合)</td |
課税標準額×2%
※居住用建物の場合は軽減措置あり |
所有権保存登記
(新築の建物を購入した場合) |
課税標準額×0.4% |
抵当権設定登記
(土地や建物の融資を受ける場合) |
課税標準額×0.4%
※居住用建物の場合は軽減措置あり |
所有権移転登記
(土地や建物を相続する場合) |
課税標準額×0.4%
※免税措置あり |
「課税標準額」とは固定資産税額を算出する際のもとになる金額のことで、通常は土地の評価額と同額になります。
司法書士や土地家屋調査士への報酬に関しては、案件によって1~8万円程度が相場です。
専門家へ依頼せず自分で不動産登記を行うことはできますが、専門的な知識がないと非常に難易度が高いです。
法務局や役所などに出向いて必要書類を集める手間もかかるため、費用を削減できる以外に自分で登記を行うメリットはあまりないと言えます。
賃貸オーナー様なら不動産登記は必須!
不動産登記はご自身の不動産における権利を守りつつ、円滑な不動産取引を行う上で欠かせない手続きです。
所有権を取得した場合はもちろん、転居や姓の変更時、ローン完済時などでも登記を行う必要があるため注意しましょう。
登記の際は無理に自力で行おうとせず、専門家に相談して確実に対応してもらうことがおすすめです。