【対談】街並みを作る 松村さん(マッツガーデンズ)と当社代表 下村でシエスタシリーズ植栽を語る
当社の建築物件シエスタシリーズでは、建物そのものだけではなく植栽にもこだわって作っております。
植栽を造成することは、環境美化、入居募集で印象を良くし入居者様へ向けても住みよい環境へと導くことにつながります。
大規模な植栽が特徴のシエスタデュオ上石神井で、当社の植栽の造成、メンテナンスをお願いしているマッツガーデンズ 松村様と当社代表 下村との対談を行いました。
小パンフレットで書ききれなかった対談の拡大版となっております。
ぜひご覧ください。
シエスタシリーズとの出会い
—おふたりはもともと育った地元が同じお知り合いという関係とお聞きしています。当社との出会いはどのようなものだったのでしょうか。
下村 最初は、府中本宿町の戸建てから始まりました。あの現場は結構ボリュームがありました。芝生、ウッドデッキ、通路をやってというところまでやりましたよね。そこから始まったのか。
府中本宿町
府中本宿町
府中本宿町
下村 あれは何年前でしたっけ。
松村 6、7年前だったと思います。その戸建てから始まりました。
—最初は戸建てだったのですね。そこからシエスタシリーズへとつながったきっかけは何だったのでしょうか、戸建ての続きでシエスタシリーズもという感じだったのでしょうか。
下村 というよりも、戸建てだと作って売って終わりなので何か物足りなさを感じていました。デザインはするけれど、引き渡してしまったら愛着がわきにくいというところがありました。あとは会社の収益面もあってアパートをやることになりましたね。自社で土地を買って建てて、投資家さんに売って管理まで。できれば作ってからずーっと維持管理で自分で愛着を持ってできるからということから始まりました。
松村 そういう考えを知らずにいつの間にか戸建てじゃなくなっていたというところはありますね。
緑化制限のためだけに植栽を植えるのではない
—賃貸住宅でこのように植栽を植えるのは実際に他の物件でもあることなのでしょうか。
松村 ここまで植栽の計画をするのはここくらいだと思います。
下村 植栽に手を掛けられるのはやっぱり維持管理をするからなんですよね。最初から(行政の)緑化制限をクリアするためだけにやるのではなくてそのあと維持管理で育っていって景観となってを考えるとやっぱり見栄えが違いますよね。
松村 そうですね。
下村 ここの中庭だって普通だったらやらないですよね。
シエスタデュオ上石神井中庭
松村 砂利でこのまま混ぜてしまえば済んでしまうというところはあると思いますね。
下村 そうですそうです。中庭があると、やっぱり入ったときにまずはエントランスのところの植栽から始まって入口だけじゃなくて中も楽しんでもらえます。緑がないと入居募集の時に写真映えがしないんですよね。ただ虫との戦いはあるんですけどね。
シエスタデュオ上石神井エントランス
松村 そこは自然界に生きている以上はね、しょうがないですよね
下村 まあそうですよね。シエスタシリーズで植栽はかなり特徴になっていると思います。全部任せられるからありがたいです。
松村 いえいえこちらこそです。
見た目だけでない植栽の底力
—植木業界では「今は「植える」より「切る」ほうが多い時代。」というお話を以前耳にしました。当社の新築物件では外構に必ず植栽計画をプラスしていますが、これはどのような意図があるのでしょうか。
下村 住む場所に緑があることっていうのはやはり大事ですよね。昔から人間の生活に切っても切れない存在と言えます。帰宅したときに緑があると落ち着く、癒しの効果があったり。
やはりオーナーさんからすればもしかしたらメンテナンス掛かるんじゃないかという危惧が一番多いと思います。メンテナンス費としてかかってくるのは年間本当1回か2回の除草や剪定作業です。このメンテナンス費よりもやっぱり入居する方にとってパッと見て殺風景であるよりも木がある方が空間として良いです。入居募集の内見での印象が違いますし入居付けが違うということは空室率、結果的に売却価格に関わってきます。結果、物件のクオリティを上げることにつながります。
例えば、都内のofficeなどでも緑があったりしますよね。無機質の中での、緑という感じです。ビル群の中に緑の大切さがやっぱりあるんですよね。表参道では、並木があってそこをライトアップしたり東京でいえば外苑通りとかイチョウ並木に人が集まります。本質的に人は緑を見て楽しいというか安らぐといったことは絶対にあるんじゃないかと思います。
東京 表参道
東京 表参道 ライトアップ
東京 外苑前
下村 見えないところ、マイナスイオンで空気を浄化してくれる働きもありますよね。あと単純に好きだからというのもあります。
植栽は維持、メンテナンスが必須です。
松村 造園業という職業としては植栽のない賃貸住宅は寂しいものではあるなと思います。たとえば、植木鉢1本でも入れるだけでも寂しさを感じずに過ごせるようなところはありますよね。
下村 部屋の中に観葉植物を置いたりするのも外で自分で植えることができないからだと思います。こういう緑があれば楽しんでもらえたりするんじゃないかなと思います。
これからの将来、農園付きのコンセプト収益物件もやっていきたいなとも考えています。
松村 いいですね
下村 はい。そんなものが差別化になるんじゃないかと思います。
松村 このスペースだったら自由に使っていいですよなんて場所があってもいいかもしれないですよね。
下村 やっぱり植物が植わっていて、そこを見ればその物件の管理の良さ、オーナさんがどんな人か管理会社の管理はどうか、そこで生活する人がどんな人なのかが分かります。建物だけではなくて、外構、植栽、建物すべてがあってデザインになるんだと思います。
庭の中に物語を
—このシエスタデュオ上石神井は中庭が特徴的です。庭園のデザインはどのように考えられているのでしょうか。
下村 ここは緑化制限があって面積に応じたある程度の広さの緑化が必要でした。どの範囲に植えるのかはこちらで考えています。意図としては、向こう側(オートロック側)からすると駅から来たときにパッと見るのは一番こっち側(オートロックから入って見える正面の木)。だからそこにシンボルツリーを入れてきれいにしておきたい。という風にお願いして①、あとはパッとエントランス入ったときの左側をこんな感じでという風に意図を伝えて②、後は中のほうはここに低木、高木を植えて③ということしか伝えていません。あとは入ったときに(中庭)右側が下草で見栄えが良くなるように正面は何かしら画になる木を植えているはずです。例えばオートロックから入った後の正面はプロパン庫が一番に見えてしまいます。だからそこに目をやらないように木を植えて視線を逃がすということをしています。
—建物と植物のバランスということなんですね
下村 そうです。あとは自由にバランスを見て植えてもらっています。チップもお任せで入ったものなんです。
松村 植えたいものだけを植えるといったことではなくてチップを敷いているにも理由があるんです。見た目の良さのこともありますが、草が生えづらくなるとかそういう効果も考えて植えたりを毎回やっているという感じですかね。
下村 そうですね。外観と合わせてやってもらっているという感じです。
松村 ここに関しては5本以上は高木が入っていなきゃいけないという決まりでした。その中で全部違う種類の木をというのもまた違うし同じ木も入れながら、全体的にどうするかを考えながらイメージをして作っていくといったことをしています。
プロの植栽の秘密
—何か植えるうえでのこだわりポイントはありますか。
松村 色どりや場合によってシンボルツリーを作ることなどにはこだわっていますね。
ポイントは① バランス ② 外観の色 ③ 高低差 ④ 向き、奥行 ⑤ ストーリー感を意識することなど。
建物や外構を見て、作り手がどのようなコンセプトで作ったのか察して計画をしています。
下村 なるほど。実は初めて聞きました。アイデアを出し合って完成しているということですね。
—実際、どういう風に植栽を考えているんでしょうか。
松村 手書きの絵でかいたり、画像を持ってきたりしています。
下村 まさにデザインするって感じですね。
松村 そうなんです。
下村 植栽はシンメトリーではなくてアシンメトリー。非対称をどうやって意識するのかが大事です。建物は制限が多すぎて、シンメトリーやアシンメトリーまではなかなか再現できないものなんですよね。
松村 人間が植えるものだから単調になる可能性があります。そうならないように意識しています。
木にも正面、裏側があるんです。枝葉が多い部分が正面と言われています。実は小さい植栽も向きを考えているんですよ。
—植栽は緑化制限がありながらもきれいに見えるようにと作られているんですね。
下村 そうですね。
松村 そうなんです。
下村 むやみやたらに置いているわけではなく作って終わりではないメンテナンスもしているから作るときに剪定のしやすさ、後々のことを考えて植えるということがシエスタシリーズの植栽ではされているんです。植えるだけの人とメンテナンスを考えて植える人とやっぱり視点が違うので、植えて今きれいだからいい、終わり。ではなくて植えた後のメンテナンスも依頼しているから分かるという面があります。ただ環境によって植物は変わっていくものなので・・
松村 そうですね。植えた後にどうしても生き物だから戦いが起きてしまってこの中で枯れてしまうものだったり環境に合わずにうまく育たないものというのがやっぱり1年2年経つと出てきます。定期的にメンテナンスをさせてもらっているのでその時に入れ替えさせてもらったりということができるというのはうちとしてはありがたいというところですね。
3年、5年後に見える楽しみ
—植えた後も続いていくということですね
下村 そうですね。植えたときの大きさが違うのでおそらく3年後5年後のほうが一年の伸びも早いという違いも出てきますね。シエスタヴィラ上鷺宮の杜(2017年竣工)は一回大きく切りましたよね。
松村 上鷺宮は最初2,3年はそのままでそのあと徐々に手を加えていますね。
下村 どのくらいがいい時期なんですかね。やっぱり5年くらい?
松村 そうですね、3年、5年くらいかな。すごい長期的なことを考えると最初はちっちゃく感じるかもしれないけれど木はだんだん育っていきます。最初の見栄えのために、大きく育ったものをお金かけて植えてそれで枯れてしまっても・・
木も植えた環境に合わせて育てていった方が間違いなく強いです。
下村 こっちの芝生や中庭なんかも最初は寂しいなと思っていたけど今だとすごくちょうどいい風になっていますよね。とても良いんじゃないかと思います。
2019年竣工当時の様子
2022年現在の様子
下村 一橋学園もまだ木が小さいけれどあれも3年5年経ってくるとちょうどよくなってくるんじゃないかと思います。
一橋学園中庭
下村 今は必ず年間計画(除草の計画や高圧洗浄の計画などが年間を通して計画できる書類)を今出していて、植栽もその中に入っています。なのできちんと維持管理して放置しないということができる体制にあります。
木を放置していると虫が部屋に入ってきたりして住み良くないので、ゴミボックス同様きちんと管理していくことは植えた責任として重要ですよね。
—ライティングと調和させているのかなとも思ったのですがどうですか。
下村 エントランス側は外灯があるからライトは入れていないけれど、オートロック裏は土に埋める形でライトを入れたりしています。
松村 一応、ライトがある場所は陰ができるようなものを植えていたりします。
下村 そうなんですね!
シエスタデュオ上石神井エントランス
シエスタデュオ上石神井オートロック裏
下村 ここは最近剪定入ったところでしたっけ。
松村 これは去年やりましたね。長い時間かかりますが、いずれ真四角になるように考えています。
下村 真四角の予定なんですね。楽しみです。