アパート経営のリスク11選|成功につなげる方法や必要な知識も解説
アパート経営では、さまざまなメリットがある一方で、失敗してしまうリスクも多くあります。しかし、リスクを抑える方法は存在し、リスクをうまく抑えながらアパート経営を成功させている方も多くいるのが現実です。まずはどのようなリスクがあるのか理解した上で、成功につなげる方法を講じていくのがよいでしょう。
当記事では、アパート経営における11つのリスクと、リスクを抑えてアパート経営を成功につなげる方法、またアパート経営における必要な知識などを解説します。
目次
アパート経営におけるリスク11選
アパート経営には、定期的な収入や売却による利益など、多くのメリットがあります。一方で、リスク対策を取らずに経営すると、思うように収益を上げられず破綻する恐れもある資産運用方法です。
ここでは、安定した経営を目指すために知っておくべき、11の賃貸アパート経営リスクを紹介します。
空室リスク
アパート経営における空室リスクは、家賃収入を基盤とするこのビジネスモデルでもっとも避けるべきリスクの1つです。空室が増えると家賃収入が減少し、ローン返済や維持管理費、修繕費用などの固定費用を賄うのが難しくなります。また、空室は家賃の低下や資産価値の低下など、ほかのリスクを引き起こす原因にもなりかねません。
空室リスクを引き起こす要因は多岐にわたり、「立地の悪さ」「経年劣化」「供給過剰」「社会情勢の変化」などが挙げられます。周囲との差別化や適切な維持管理を行い、空室リスクを下げることが、アパート経営の成功には不可欠です。
老朽化に伴う修繕費リスク
アパート経営において、建物の老朽化に伴う修繕費リスクは避けて通れない問題です。どのような建物も、時間経過による劣化は避けられません。大規模な修繕は数十年に1度程度で済みますが、小規模な修理や塗装、洗浄などは小まめに行う必要があります。たとえば、1LDK~2DKの木造アパート(10戸)の場合、1戸当たりの修繕費は30年間で約216万円が必要とされています。10戸の木造アパート全体では約2,160万円の費用になります。
アパートの老朽化リスク管理には、定期的なメンテナンスや予防保全、新築時からの質の高い建築選択、そして修繕費用の積み立てが必須です。適切にメンテナンスをすることで建物の老朽化を抑制でき、長期にわたり安定した収益を得やすくなります。
家賃低下リスク
アパートの家賃低下は、収益性に直接影響を与える重要な問題です。家賃の相場は、周辺地域の需要や築年数によって変動します。
地域の賃貸需要は、周辺の施設や人口、賃貸物件の数に左右されるため、アパート経営を始めた当初から家賃相場は変動する点に注意が必要です。また、築年数の経過は、経年劣化によって物件の価値が低くなるため、家賃に影響を与えます。さらに、家賃は物価の影響も受ける点を覚えておきましょう。物価が上がると家賃相場も上がりますが、経済状況により物価が下がると家賃相場も下落する傾向にあります。
ただし、アパートの需要が減ったとしても、家賃を下げるのは最終手段にとどめましょう。家賃低下により、アパートローンの返済計画にも影響が出てくる可能性もあります。空室リスクをはじめ、老朽化リスクなど関連するリスクへの対策と合わせて、入居者の満足度を高めることが効果的です。
金利上昇リスク
アパート経営における金利上昇リスクとは、借入れ金利の変動が賃貸経営の収支に大きな影響を与える可能性がある、重要なリスクの1つです。特に、変動金利型のローンを利用している場合、金利の上昇に伴なって返済額が増加し、経営のキャッシュフローが悪化する恐れがあります。
長期にわたるアパート経営では、現在の金利が低い場合でも、将来的に上昇する可能性を考慮しなければなりません。金利上昇のリスクを避けるのであれば、固定金利型の融資を選択するか、自己資金の比率を高めにするとよいでしょう。
金利が上昇したタイミングで売却を検討するのも戦略の1つですが、長期固定金利を選択した場合の違約金のリスクも考慮する必要があります。
自然災害リスク
アパート経営における自然災害リスクは、地震や火災などにより建物が破損したり、まったく使用できなくなったりして経営に大きな支障をきたすリスクです。自然災害によって、予期しない高額な支出が発生することや、賃貸経営自体が不可能になることも少なくありません。
以下の点を踏まえれば、自然災害リスクを最小限に抑えられるでしょう。
- 耐震性や耐久性に優れた建物を建設する
- ハザードマップを参照してリスクの低い土地を選定する
- 適切な地盤調査を実施し地盤の強化を図る
- 火災保険や地震保険に加入する
入居者のトラブルリスク
アパート経営では、以下のような入居者トラブルリスクも大きな懸念事項です。
- 騒音問題
- ゴミの不適切な処理
- 無許可でのペット飼育
- 禁止した場所での喫煙
- 夜逃げ
- 契約外の同居
- 敷地内での死亡
いずれの問題も、ほかの入居者へ悪影響を及ぼすだけでなく、最悪の場合は退去を招くこともあります。トラブルを未然に防ぐためには、家賃の支払い能力だけでなく人柄を見極める入居審査が非常に重要です。
しかし、募集条件や入居審査を過度に厳しくすると、入居者が決まりにくくなる問題も生じます。リスクを抑えるには、適切な審査と迅速な初期対応が可能な実績豊富な賃貸管理会社を選ぶとよいでしょう。
家賃滞納のリスク
収益が途絶え、経営に深刻な影響を及ぼす入居者の家賃滞納も、アパート経営における大きなリスクです。基本的に、一度滞納が発生したからといって、貸主はただちに契約解除や退去を求めることができません。通常、3か月以上の連続滞納がなければ貸主側からの契約解除は困難で、場合によっては訴訟になります。
家賃滞納リスクを未然に防ぐための対策として、敷金の徴収や家賃保証会社への加入が効果的です。敷金は滞納発生時に家賃に充てることができ、家賃保証会社は滞納があった場合に代わって家賃を支払ってくれます。なお、家賃保証会社への保証料支払いは、借主負担となるのが一般的です。
借入返済のリスク
アパート経営では、想定外の空室率の上昇や家賃収入の低下により、借入金の返済が困難になる、借入返済のリスクもあります。本来、借入金は返済可能な範囲で計画するものです。しかし、予期せぬ経済状況の変化やアパートの収益性低下が原因で、返済計画が狂うケースは珍しくありません。
特に、借入金の額が多い場合や自己資金が少ない場合に、このリスクはさらに高まります。借入金返済リスクを最小限に抑えるには、現実的な空室率を予測した上での長期的な収支計画が重要です。また、自己資金の比率を高めることや、入念な市場調査を行い、安定した収益が見込める立地へ投資することが求められます。
オーバーローンリスク
オーバーローンリスクは、物件購入費用に加えて諸費用も借入することで、ローン残債が物件の売却額を上回るリスクを指します。この状態になると、売却してもローンを完済できず、不足分を自己資金で補わなければなりません。
オーバーローンは、少ない自己資金で不動産投資を開始できる点が魅力です。しかし、金利上昇や収益性の低下などの変動リスクを十分に考慮しなければ、返済負担が増大し経済的な困難に陥ります。
オーバーローンリスクの回避法としては、「自己資金を多くする」「融資額を抑える」「正確な返済計画を立てる」などが挙げられるでしょう。不動産投資においては、借入金への依存度の高い投資を行うリスクを理解した上での、慎重な判断が求められます。
サブリースの契約リスク
毎月一定額が支払われる家賃保証型サブリースには、アパート経営の空室リスクを回避するメリットがあります。しかし、サブリース契約は数年ごとの賃料見直しが契約に盛り込まれているケースが一般的です。そのため、空室状況や市場家賃の変動によっては、保証額の減少も珍しくありません。
サブリース契約を検討する際は、サブリース会社の評判や信頼性を事前に調査し、契約内容を十分に理解した上で選択することが重要です。特に、立地条件がよく高い入居率が期待できる物件の場合、サブリースを利用しない方が良いケースもあります。
資産価値の下落リスク
アパート経営における資産価値の下落リスクは、経年などの建物に起因する要因以外に、外部環境の変化によっても発生するリスクです。建物の価値は時間とともに自然と低下します。また、「地域の人口減少」「主要施設の移転」「不十分な駅開発」なども、土地の価値を下げる要因となり得るでしょう。いずれのリスクも、個人の努力だけでは防ぎきれません。
資産価値を保持するには、初めから将来性のある立地を選ぶことと、家賃下落リスクに対する適切な対策を講じることが重要です。資産価値が下がった場合の売却も選択肢の1つですが、その際にはオーバーローンのリスクにも注意が必要です。借入金を抑えることも、資産価値の下落に伴うリスクを軽減する効果的な対策の1つと言えます。
アパート経営のリスクを抑え成功につなげる方法
そもそも、アパート経営の成功とは、どのような状態を指すのでしょうか。アパート経営の成功は、オーナーが設定した目標や期待値を達成したか否かで語られるのが一般的です。具体的には、「安定した定期収入」「土地の有効活用」「投資の利回り」「相続税の軽減」などが目標とされます。
しかし、もっとも重要なのは、オーナー自身が経営状況に満足しているかどうかです。成功へと導くためには、アパート経営に伴うさまざまなリスクを理解し、それらを可能な限り抑制しなければなりません。
以下では、アパート経営のリスクを抑え成功につなげる10の方法を紹介します。
投資の目的と目標を決める
アパート経営を成功させるためには、まず投資の目的と目標の明確化が重要です。なぜアパート経営を始めたいのか、自分自身の目的が明確であれば、経営方針を正しく立てられ、長期的な計画に沿った運営が可能となります。
投資の目的は人それぞれ異なりますが、以下の理由が代表的です。
- 相続税対策のため
- 節税のため
- 老後の収入源にするため
- 有効な土地活用のため
- 不動産投資による資産形成のため
- 不動産経営に興味があるため
目標には数値を設定し、達成度を測定できるようにすると、リスクを回避しやすくなります。いずれの目的を達成するにも、必要な知識と情報を集めて現状分析や市場調査を行い、長期的な視点で経営計画を立てなければなりません。
アパート経営に関する知識を深める
アパート経営を成功させるには、関連する知識を深める努力が不可欠です。アパート経営には、賃貸物件を経営する際の基本から税金や支出に関する専門知識まで、経営者としての幅広い学びが必要となります。情報収集の方法としては、書籍やセミナーへの参加、専門家からの相談などが有効です。異なる情報源から得られる知識を比較検討し、最適な答えを見つけ出しましょう。
また、最新情報を常にキャッチアップすることで、変化する市場環境へも柔軟な対応が可能です。正しい知識と情報があれば、アパート経営のリスクマネジメント力と、成功へと導くために必要な判断力が上がります。
市場調査を行う
アパート経営の成功には、市場調査も欠かせません。市場調査では、建設業者や不動産会社が提供する情報だけに頼らず、以下のような方法で自らも地域の状況やニーズを理解することが大切です。
- 物件の周辺を実際に歩く
- 周辺の賃貸住宅の空室状況や類似物件の賃料をチェックする
- 地元の不動産会社に相談する
現地の情報を基に、より実現可能性の高い事業計画を立てることが、アパート経営の成功につながります。
余裕を持った資金計画を立てる
アパート経営においては、余裕を持った資金計画が重要です。返済額に余裕があれば、敷金や礼金をゼロにするなどのキャンペーンを実施して、入居希望者を集めやすくなるなどのメリットもあります。
空室や修繕費用の発生に備えた積立も資金計画に含めておくと、より安心です。無理のない自己資金額と返済額を設定し、計画的にアパート経営を進めることが成功への鍵となります。
長期的な収支計画を立てる
アパート経営には、長期的かつ慎重な収支計画が欠かせません。以下のポイントを考慮して計画を作成しましょう。
- 家賃の水準を控えめに設定する
- 空室率は実情に即して5%程度を見込む
- 10年ごとの家賃下落を前提にする
- 定期的な小規模修繕、及び10年~15年ごとの大規模修繕費用を計上する
- 経費や税金を正確に計上する
- ローン返済計画に無理がないか確認する
資金計画に余裕を持たせるだけでなく、現実的な収支計画を立てることで、長期にわたり安定したアパート経営が目指せます。
立地や設備など物件の差別化をする
立地や設備で物件を差別化するのも、アパート経営では重要です。必ず立地調査を行い、通勤・通学の利便性や地域の世帯ニーズを把握しましょう。また、入居希望者が物件を選ぶ際、魅力的な間取りや設備、安全性なども重視します。ターゲットとする層に応じて、設備や間取りを最適化することが、高い競争力を持つアパートを建てる鍵です。
たとえば、高速インターネットや宅配ボックスなど、現代のライフスタイルに合った設備を整えることで、ほかのアパートと差別化を図ることができます。近年は防犯カメラやオートロックのような安全性を高める設備に加え、システムキッチンや浴室乾燥機なども根強い人気のある設備となっています。
信頼できる管理会社を選ぶ
管理会社の選定は、アパート経営をスムーズに行い、長期にわたり安定した収益を上げるためにも非常に重要です。管理会社の質は入居者の定着率や物件のメンテナンス状態に直接影響し、経営の成否を左右します。以下のポイントを考慮して管理会社を選びましょう。
- 管理委託にかかる手数料だけでなく、提供するサービスの質を確認する
- 集客ノウハウや情報を活用できる、地域に強い管理会社を選ぶ
- 建物や共用部の清掃、入居者からのクレーム対応など、管理業務の質が高いか確認する
- 空室対策として賃貸仲介にも強い会社を選ぶ
- 管理会社を変更できるか確認しておく
費用とサービス内容を比較検討し、アパートの経営方針に合った管理会社を選ぶことが大切です。
頭金を入れる
安定したアパート経営を目指すのであれば、ローンを組む際に頭金を入れておきましょう。頭金を入れるメリットは、以下の通りです。
- 毎月の返済額を減らし、返済の負担を軽減できる
- 金利変動のリスクを低減できる
- ローン審査に通りやすくなる
一般的には、物件価格の10~20%程度を頭金として準備するとよいとされています。ただし、空室リスクに備えるためにも、ある程度手元の資金も残しておくことも重要で、空室時のローン返済にも備えておく必要もあります。
保険に加入する
アパートを経営する際は、火災や自然災害などの事故のリスクに備えた保険への加入が欠かせません。賃貸経営では、オーナーは建物に、入居者は家財に保険をかけるのが一般的です。最優先で検討したいのが、火災保険と地震保険です。加えて、孤独死や事件などの事故リスクに対応した特約にも入っておくとよいでしょう。
自然災害のリスクは地域によっても異なるため、自治体が提供するハザードマップを参照して、物件が位置する場所の危険度を把握しておかなければなりません。火災保険や地震保険は、長期の一括契約にすると保険料が割安になります。また、複数の保険会社を取り扱える保険代理店に相談して最適なプランを選びましょう。
入居者の審査を慎重に行う
アパート経営の成功には、入居者の審査には慎重さが必要です。入居者トラブルによる収入減少を避けるためにも、審査の際には以下の点に注意しましょう。
- 管理会社と密に連絡を取り合い、審査基準を共有する
- 審査基準のバランスを適切に保ち、厳しすぎず緩すぎない基準を設定する
- 審査基準に不安がある場合は、保証会社の利用を検討する
適切な入居者審査が行われれば、安定した経営が継続し、長期的に見ても収益性の高いアパート経営を目指せます。入居者審査は基本的に管理会社が行いますが、オーナーも常に関心を持っておくことが大切です。
アパート経営のリスクを軽減するために必要な知識
アパート経営を成功に導くためには、不動産や法律をはじめとしたさまざまな知識が欠かせません。建築会社や管理会社などの専門家のサポートを受けるのも大切ですが、オーナーが基礎知識を身につけ、経営に関する判断を主体的に行うことが重要です。積極的な関与で得られた経験やノウハウは、アパート経営を安定させるための貴重な財産となります。
また、不動産業界は常に変化しており、新しいトレンドや法律の改定に対する敏感さが必須です。情報収集を怠らず、必要なサービスや設備を適時アップデートすれば、空室リスクを軽減し、長期にわたる経営の安定が目指せるでしょう。
次に、アパート経営のリスクを軽減するために得ておきたい5つの知識を解説します。
不動産の知識
アパート経営で失敗しないためには、不動産取引の流れや不動産価格の相場まで、不動産に関する幅広い知識が必要です。不動産広告の読み方や、住環境の調査方法なども理解しておかなければなりません。
収益を上げられる物件を見極めるには、賃貸需要動向や家賃の相場、立地の利便性や周辺環境など、さまざまな要因を総合的に評価する知識が求められます。さらに、不動産取引における法律的な知識や資金計画の立て方、アパートローンに関する基本的な考え方も重要です。これらの知識を持つことで、悪質な業者に騙されることなく、よりよい判断が可能となります。
法律の知識
アパート経営において、法律の知識は経営の安定性を高める上で欠かせません。以下の法律などが重要になります。
建築基準法 | 建物の基準を定める法律です。安全性や耐震性など、建築に関する基本的な規制を把握しましょう。 |
---|---|
民法 | 契約全般に関わる基本的な法律で、賃貸借契約をはじめとするさまざまな契約に適用されます。賃料の支払い、契約の解除条件などについての規定が重要です。 |
借地借家法 | 賃貸人と借主の権利・義務を定める法律で、賃貸契約における多くの基本的な規則を含みます。賃貸人が不利になる規定が多いため、詳細に理解しておかなければなりません。 |
住宅瑕疵担保履行法 | 新築物件の瑕疵に関する責任や保証について定めた法律です。新築アパートを経営する際には、この法律に基づく保証内容を理解しておく必要があります。 |
これらの法律に加えて、土地の利用や建築に関する地方自治体の条例など、地域ごとの規制も理解できるようにしておくことが大切です。
会計の知識
アパート経営では、キャッシュフローや税務などの、会計に関する知識も欠かせません。たとえば減価償却では、建物の建築費を経費計上する際に、必ず法定耐用年数に応じて、毎年少額ずつ経費に計上することになります。一方で、借入金の返済の元本額は経費には計上できません。
つまり重要なのは、会計上の損益と実際のキャッシュフローが一致しないということを理解し、実際に手元のキャッシュフローを正しく把握できなければいけません。確定申告や税金の納付のためだけでなく、アパート経営の根幹であるキャッシュフローに関わってくるので、基本的な会計や税務の知識は持っておきましょう。
税金の知識
アパート経営に関わる主な税金には、以下の種類があります。
建築時に課税される |
|
---|---|
収入に対して課税される |
|
土地と建物に毎年課税される |
|
事業規模になると課税される |
|
売却時に課税される |
|
いずれの税金も、経営の段階に応じて適切に対応することが必要です。分からない場合は、管理会社や税理士に相談するとよいでしょう。
個人事業主に関する知識
個人事業主としての申請や確定申告の知識は、アパートを経営する上で欠かせない要素です。アパート経営で一定以上の賃料収入がある場合は、確定申告を行わなければなりません。確定申告は年に1度、事業での収支を申告する重要な手続きです。
確定申告の際、きちんと帳簿を作成することで青色申告を選ぶことができ控除額も増えます。ただし、青色申告をするためには、まずは先に「開業届」を提出する必要があります。
開業の手続き自体は管轄の税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」「本人確認書類」「マイナンバーカード」などを提出します。
アパート経営のリスクを抑えるハウスメーカー・管理会社を選ぶポイント
アパート経営は1人でも可能ですが、ハウスメーカー・管理会社の実績ある会社の意見やサポートを得れば、経営に関するリスクを軽減できるケースも少なくありません。ただし、高額な資金が動くことになるアパート経営には、知識不足や弱みにつけ込もうとする悪徳業者がいるのも事実です。
ここでは、信頼できるハウスメーカーと管理会社を選ぶポイントを紹介します。
ハウスメーカー
ハウスメーカーを選ぶ際は、以下の点に注目しましょう。
施工実績 |
---|
施工実績が豊富なハウスメーカーは、さまざまな問題に対処できる経験を持っています。特にアパート建築の経験が多い会社は、その地域での入居率や賃貸市場の動向を熟知しており、信頼できる提案が期待できるでしょう。 |
担当者の提案力 |
---|
賃貸市場のトレンドや地域特有のニーズを踏まえて提案ができる担当者がいれば、入居率の高い物件を建てられます。担当者の知識量に加え、オーナーの疑問や不安へ丁寧に対応してくれるか、コミュニケーションが取りやすいかといった点も重要です。 |
アフターサポート |
---|
定期的なメンテナンスや修繕対応は、物件の長期的な資産価値を保つために必須です。アフターサポートの充実度を確認しましょう。 |
費用対効果 |
---|
建築費用と提案される物件の質とのバランスを考慮し、コストパフォーマンスの高いハウスメーカーを選ぶことが大切です。過度なコストダウンは物件の質の低下につながるため、費用対効果を見極めなければなりません。 |
適切な判断を下すためにも、必ず複数の業者に提案してもらい、内容を比較検討するようにしましょう。
管理会社
管理会社を選ぶ際は、特に以下の点に注目しましょう。
入居率 |
---|
物件の入居率は、その会社の実力を示す指標の1つです。担当物件で95%以上の入居率を維持していれば、集客力や管理力が高い会社と言えるでしょう。 |
トラブルへの対応力 |
---|
トラブルが発生した際に、いかに迅速かつ適切に対応できるかは、管理会社を選ぶ上で重要なポイントです。トラブル発生時の対応マニュアルの有無や、休日の人員体制なども聞いておくとよいでしょう。 |
担当者との相性 |
---|
管理会社とのコミュニケーションは、基本的に担当者を通じて行われるため、担当者との相性や対応のよさは非常に大切です。信頼できる担当者を持つ会社を選ぶことで、スムーズな管理が期待できます。 |
管理手数料 |
---|
サービス内容に対して管理手数料が適正であるかどうかも、管理会社選びの重要なポイントです。安すぎる場合はサービスの質が低い可能性があり、高すぎると経営の収支に影響を与える可能性があります。市場相場を参考に、適正な手数料の会社を選びましょう。 |
これらのポイントを踏まえることで、アパート経営の成功に寄与する管理会社を選定できます。会社選びの際には、複数社からの提案を比較検討することが大切です。
まとめ
アパート経営では空室リスクや老朽化に伴う修繕費のリスクなど、さまざまなリスクがあります。リスクを抑えてアパート経営を成功につなげるには、アパートに投資する目的と目標を明確化し、現実的かつ余裕を持った資金計画・収支計画を立てましょう。また、経営における不動産に関する法律、会計、税金などの知識を学ぶことに加え、ほかの物件と差別化を図ることも大切です。
実績あるハウスメーカーや管理会社の意見やサポートを得ることもリスクを抑えるのに役立ちますが、必ず複数の業者・会社を比較検討し、信頼できるかを見極めましょう。
この記事の監修者
白坂 大介
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士 | 宅地建物取引士 | 住宅ローンアドバイザー | 証券外務員1種
経歴
大阪市東淀川区 出身
上宮高等学校 卒業
京都産業大学 経営学部 卒業
- 2004年
- ハウスメーカーへ入社
- 2008年
- ファイナンシャルプランナー取得
- 2009年
- 総合保険代理店へ入社
- 2010年
- FP Office Shirasaka 開業
- 2013年
- ジョインコントラスト株式会社 設立