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アパートの解体費用相場は?内訳や利用できる補助金・解体の流れも解説

 
アパートの解体費用相場は?内訳や利用できる補助金・解体の流れも解説
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築年数がある程度経っていたり、空室率が高かったりするアパートは解体するタイミングかもしれません。しかし、解体にはある程度の費用や準備も必要であるため、しっかりと検討してから進める必要があります。

当記事では、アパートを解体する際の相場や費用の内訳、少しでも解体費用を抑える方法を解説します。アパート解体の流れも合わせて解説するため、アパートの解体を検討している方はぜひ当記事を参考にしてください。

アパートの解体費用の相場は?

アパートの解体にかかる費用は、アパートの構造や規模によって異なります。アパートの解体を考えたときは、まず費用相場を把握することで解体計画や予算の設定がよりスムーズに進むでしょう。

ここでは、アパートの構造別・規模別費用相場を解説します。

構造による違い

解体対象建物の構造が異なると、解体方法や必要な重機、期間も変わります。木造は一般的な重機で容易に壊せますが、鉄骨や鉄筋コンクリート造の建物の解体は特殊な機器や手法が必要です。解体にかかる手間の違いが、各構造の解体費用に差を生む大きな要因となります。

【解体費用の相場表】

構造種別 坪あたりの単価
木造 4万~5万円
鉄骨造(S造) 6万~7万円
鉄筋コンクリート造(RC造) 9万~10万円
プレハブ造 3.5万~4.5万円

実際の金額は、上記の単価に延べ床面積の坪数をかけた金額となります。

木造の建築物は解体が比較的容易であり、費用を抑えられる傾向にあります。一方、鉄筋コンクリート造は頑丈で大規模な建物が多いため、解体に時間がかかり費用も高めになるケースが大半です。ただし、この費用はあくまで目安であり、実際の費用はアパートの規模やその他の条件によっても左右されます。

規模による違い

アパートの解体費用相場は、建物の規模、特に階数に影響されます。階数が多いほど延べ床面積も大きくなるケースが一般的なため、金額も高くなります。

ただし、建物面積が同じ場合でも、平屋と二階建てで解体費用が異なることもあります。平屋の場合、建物面積80坪のアパートは屋根も基礎も80坪分の面積を持っています。一方総二階建ての場合、屋根や基礎部分の面積自体は半分程度となるのが一般的です。

基礎部分の解体では、コンクリート片などの処分に高い費用がかかる廃材が多く出る上、作業員の数も増えるため、基礎面積の広い平屋のほうが坪あたりの解体単価が高くなる傾向があります。ただし、2階建てのアパートのほうが使用されている建材が多く、重機の使用や廃材が増えると結果的に総額が上回る場合もあるので、見積もりなどで費用をしっかり確認しましょう。

また、部屋数や設備の数によっても解体作業にかかる手間が異なるため、費用が変動します。特に、風呂やトイレのような水回り設備の解体は手作業となり、時間と人手が必要です。

以上の点から、アパートの階数や部屋数、水回り設備の数など、建物の規模により、解体費用が大きく変動することを理解しておきましょう。

アパートの解体費用を左右する要素

例え同じ構造で同じ広さのアパートでも、解体費用が全く同じであることは滅多にありません。アパートの解体費用は、建物の構造や規模だけでなく、その他にもさまざまな要素に影響されるためです。

ここでは、アパートの解体費用を左右する5つの要素を解説します。

アパートの立地

アパートの立地は、解体費用に大きな影響を及ぼす要素です。特に、都市部や首都圏、繁華街などの密集地域は、人件費や重機のレンタル料、廃棄物の処分費用が高額になるため、解体工事の費用も高くなる傾向にあります。

アパートと隣接する建物との距離も解体費用に影響します。近隣との距離が1m未満であったり、解体現場までの侵入経路となる道路が狭くて重機を入れることができない場合は重機の使用が難しくなり、手作業で建物を解体しなければいけないケースがあります。また、大型のトラックが侵入できなければ、廃材の搬出にも手間がかかるため工期が伸び、人件費も高くなります。

立地や周囲の環境によっては、交通整備員の配置も必要です。立地の特性を把握し適切な解体方法を選ぶことが、費用を抑える鍵となるでしょう。

重機の使用

解体作業に使用する、重機の大きさや種類も費用を左右する要素です。重機の使用料金や運搬費に加え、重機が使用できない場合の人件費にも考慮する必要があります。

例えば2階建ての場合、5tクラス以上の重機(油圧ショベル)が使用できれば解体費用は割安になります。しかし、3tクラスの重機しか入らない場合や電線が近くにある場合は、多くの部分を手壊しで行わなければなりません。

住宅地にある3階以上の建物では屋根まで重機のアームが届かず、手作業で解体する部分が多くなりやすい傾向にあります。いずれも工事日数や作業員の人員が増えるため、解体費用は増加します。また、鉄筋コンクリートや鉄骨造の建物は非常に強固で、解体には専用の重機が必要となり、費用は高額になるケースが一般的です。

また、基礎の種類や杭の長さも必要な重機の種類に影響します。重機で簡単に掘り返せる布基礎が多い古い木造アパート解体の場合、費用はそこまで高額になりません。一方、破砕部分の多いベタ基礎や杭基礎が使われているアパートやマンションの場合、解体にかかる費用は高くなります。

撤去工事や残留物処分の有無

アパートの解体において、水回り設備の撤去や残留物の処分も費用を押し上げる要素です。例えば、キッチンや風呂、トイレのような設備の撤去数が多い場合、工事費用を増加させる要素となります。

アパート内にあるタンスや机、椅子などの残留物は「産業廃棄物」として処分され、家庭ゴミとして出すよりも費用がかさむケースが一般的です。残留物の数が多いとそれだけでも数十万円以上かかることも珍しくないため、注意しなければなりません。

また、撤去や処分を解体業者に依頼する場合、人件費などの追加費用も必要になる可能性があります。工事前に可能な限りゴミを処分しておくと、解体費用を抑えられるかもしれません。

外構の有無

アパートの敷地内に外構が存在する場合、建物解体費用だけでなく外構撤去費用も考慮しなければなりません。

【外構の例】

建物・構造物 ブロック塀・フェンス・門柱・物置
庭・装飾 花壇・庭木・庭石・灯籠残土・雑草
通路 駐車場・土間コンクリート・アスファルト

外構の内容はアパートごとに異なるため、撤去にかかる費用相場も異なります。建物の規模が大きく外構の構造物が多ければ、その分撤去費用がかさむことを覚えておきましょう。

アスベストの使用

アスベストは1975年以前に断熱材として広く使用されていました。しかし、発がん性物質を含むことが判明し、現在では健康被害のリスクから使用が制限されています。ただし築年数の古いアパートはアスベストを含む可能性が高く、解体時には十分な注意が必要です。

アスベストを含む建材の撤去には、飛散防止のための特別な工事や処分費が発生し、解体費用も増加します。1㎡あたりの撤去費用相場は、建物の規模により2万~8.5万円です。

特に鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合、アスベストの吹きつけや外壁塗膜が存在すると、撤去費用が大幅に上昇します。アスベストの有無を確認する調査段階から補助金制度を活用できる地方自治体もあるため、事前に確認しましょう。

アパートの解体にかかる費用の内訳

アパートの解体費用には足場の設置から立ち退き費用まで、さまざまな要素が影響します。解体業者ごとに工事見積もりの項目は異なりますが、基本的に8つの要素に大別が可能です。

アパートの解体にかかる費用の内訳について、詳しく見ていきましょう。

仮設工事費

仮設工事費用の相場は、1㎡あたり450~1,000円程度です。主に、以下のような作業が仮設工事費に含まれます。

  • 足場の組立て
  • 防音・防塵シートの設置
  • 重機搬入のための敷き鉄板の設置
  • 敷地内の仮囲いゲートの設置
  • 仮設トイレ・水道・電気の整備

仮設工事は、近隣住民への影響を最小限に抑えつつ、解体工事を安全かつ迅速に進めるために不可欠な費用です。業者によっては「養生費」と称されることもあります。

解体工事費

解体工事費用は、解体する箇所や使用されている材料によって大きく変動する項目です。一般的に、解体工事は、内装・屋根・外壁や基礎の3つに分けられます。

内装解体工事
キッチン・トイレ・風呂・窓ガラスや石膏ボードなど、骨組みを除く部材は手作業で取り除きます。大型重機を使用できないため内装解体の坪単価は比較的高く、1坪あたり5,000~4万円程度が相場です。
屋根解体工事
瓦を屋根材として使っている場合やアスベストが含まれている場合は、費用が上昇します。通常の屋根解体の相場は1㎡あたり1,500~3,000円程度ですが、特にアスベストを使用している屋根材の場合はそれに伴った廃材の処分費用が必要となるため、この部分だけでも1㎡あたり2万~3万円の費用が発生します。
外壁・基礎解体工事
基本的には重機解体となるものの、立地やアパートの構造、大きさによって費用が変わります。特に木造や鉄筋コンクリート造といった構造の違いや、建物の規模によって大きく価格が異なる点を理解しておくことが大切です。

なお、建物内部でアスベストが使われている場合も、特殊な撤去作業を行います。アスベストは健康への影響があるため、撤去作業では近隣の飛散防止や作業者の安全対策が必須であり、これが費用の高騰を招く原因です。

整地費用

解体工事が完了した後は、土地を整える「整地」の作業をするケースがあります。

解体後の土地活用方法や土地の状態によって、その方法や費用はさまざまです。例えば、土地を駐車場として使用する予定の場合、アスファルト舗装やコンクリート舗装が適しています。

整地作業の主な種類と費用相場は以下の通りです。

整地の種類 1㎡あたりの費用相場
粗仕上げ(粗整地) 300~600円
砂利整地 1,000~1,500円
砕石舗装 2,000~7,000円
真砂土舗装 3,000~4,000円
アスファルト舗装 3,500~6,500円
コンクリート舗装 5,000~1万円

なお、斜面になっている土地の場合や、大きな石の撤去処分・抜根・雑草の除去などが必要な場合、相場よりも費用が高くなることもあります。

廃棄物処分費

アパートの解体後に生じる廃材は、一般廃棄物に分類される家庭ゴミとは異なり、産業廃棄物として処理しなければなりません。産業廃棄物処理は、運搬から中間処理、最終処分場までの複雑な手順を経るため、解体費用の総額の中で4~5割を占める大きな要素となります。

廃棄物処分費用の相場は、以下の通りです。

廃材処分費用
  • 1㎥あたり1.5万~3万円(廃材の種類によって異なる)
運搬費
  • 2tトラック:1.3万~1.5万円
  • 4tトラック:2.5万~3万円

不法投棄のリスクを避けるためにも、適切に処理する業者の選定が求められます。適正価格を理解した上で、安すぎる業者かどうかを判断するために相見積もりを行いましょう。

人件費

解体工事の人件費は、工事の規模や工期によって変動します。特にRC造や大規模なアパートの解体では工期が長くなるため、人件費も高額になります。

解体工事で動員する主な人員は以下の通りです。

  • 工事現場の解体作業員
  • 重機を運転するオペレーター
  • 産業廃棄物を運搬するトラック運転手
  • 交通整理員・ガードマン(必要に応じて)

人員の人件費の相場は、1人1日あたり2万~4万円とされています。解体工事費に人件費が含まれている場合もあるため、見積もり時には注意が必要です。

付帯工事費

付帯工事とは、建物本体の解体とは別に行う工事のことです。付帯工事費用に含まれる作業は多岐にわたり、外の構造物の撤去や室内の残置物の処分の他、整地費用などが含まれる場合もあります。

付帯工事の例と費用相場は以下の通りです。

作業例 費用相場
庭木の撤去
  • 1本伐採(高さ3~4m、太さ直径20cm程度):2万円程度
  • 1本抜根:2万~10万円程度
庭石の撤去 庭石1t:2万円程度
ブロック塀の撤去 1㎡あたり:4,000~6,000円程度
門扉・フェンスの撤去 一式:4万円程度
倉庫・物置の撤去 4万~6万円程度
井戸・池の埋め戻し工事 一式:5万~7万円程度
残置物(不用品)の処分 1㎥あたり:1万~1.5万円程度

上記はあくまでも費用目安であり、具体的な工事金額は解体する構造物の規模や状況、業者によって異なります。解体予算のプランを立てる際には、複数の解体業者から見積もりを取得することをおすすめします。

諸費用

見積書の最後にしばしば「諸費用(諸経費)」との記載があります。諸費用の内容の詳細は業者によって異なるものの、以下の項目が計上されるケースが一般的です。

  • 近隣への挨拶時の粗品代
  • 工事車両の駐車料金
  • 各種の届け出や手続き費用
  • 保険への加入費用
  • トラブル対策のための予備費用

諸費用は解体費用総額の5~10%程度が相場とされています。見積書に記載された諸費用が高いと感じた場合、詳しい内訳を業者に確認しておきましょう。

立ち退き費用

賃貸アパートを取り壊す場合、入居者へは立ち退き料の支払いが必要です。日本の借地借家法では入居者の権利が強く保護されているため、貸主の一存で無理やり退去させることはできません。

ただし、立ち退き料の金額や内訳には法的根拠がなく、一般的には裁判の判例内容を参考に算出されます。立ち退き料は、入居者が引っ越しをする際にかかる費用を補償するものであり、家賃の6~10か月分が相場とされています。

立ち退き料の項目の内訳は以下の通りです。

  • 引っ越し費用
  • 新居の敷金や礼金
  • 家賃の差額補填

なお、立ち退きの理由や入居者の状況によっては、慰謝料や迷惑料が上乗せされるケースも少なくありません。

アパート解体の流れ

アパート構造や規模により差はあるものの、解体工事にはおよそ2週間~1か月程度となることが一般的です。ただし、アパートの解体では工事期間だけでなく、事前の手続きや後の作業も考慮しなければなりません。すべての期間を合わせると、1~3か月はかかると考えたほうがよいでしょう。

ここでは、アパート解体の手続きから工事終了までの一連の流れと、必要な準備や手続き、期間の目安を解説します。

現地調査

現地調査は解体工事を始める前の重要なステップです。現地調査を通じて、解体業者は建物の状態や立地条件などを詳しく確認し、正確な見積もりを作成します。口コミやウェブサイトなどをもとに、複数の業者をピックアップして依頼しましょう。

現地調査で主にチェックする項目は以下の通りです。

  • 周辺の道路状況
  • 工事車両の進入路
  • 敷地の立地
  • 解体する建物の状態
  • 付帯物・付帯構造物の有無とその状態
  • 埋設物の確認
  • 隣地との境界の確認
  • 残置物の有無

立ち合いの時間は建物の大きさや調査内容によって変わりますが、平均して30分~1時間程度となります。見積もりが出るまでは、1~2週間程度が目安です。

立ち会わなくても調査自体は可能です。ただ。立ち会い時に工事の範囲や要望を直接伝えておけば、解体工事の方向性に行き違いが起こりにくくなります。

業者決定

業者選びは慎重に行わなければなりません。品質の低い業者を選ぶと、法律違反や追加請求、工期の遅れなどトラブルのリスクが高まります。

以下は、業者を選定する際にチェックしたいポイントです。

  • 見積書や契約書が分かりやすく、明細が記載されている
  • 追加費用について事前説明がある
  • スムーズに連絡が取れる
  • 建設業許可証や解体工事業登録を保有している
  • 損害賠償保険に加入している
  • 行政処分や指名停止を受けていない
  • 坪単価が適正である
  • 自社施工であり、下請けや孫請けに流していない
  • トラブル発生時の対応が明確になっている
  • マニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行できる
  • 施工実績や解体事例をホームページなどで確認できる

1~2週間程度を目安に、複数の業者から見積もりを取り、比較して決定しましょう。

仮設工事

解体工事が始まったらまずは外構部分を撤去し、確保されたスペースに仮設工事を行います。仮設工事は、解体工事を行うための一時的な設備や施設を設置する作業です。工事が終了したら設置したものはすべて撤去されます。

以下は、主な仮設工事の設備です。

  • フェンス・仮囲い
  • 仮設トイレ
  • 足場
  • 養生・防塵・防音シート
  • 産業廃棄物の集積場

仮設工事は1~2日程度の予定で進められます。並行して、着工の1週間前を目安に近隣への挨拶と解体の告知を行います。近隣への挨拶は騒音や振動による不満を軽減し、理解を深めるために重要です。業者によっては担当者が挨拶回りに同行し、工事に関する説明も行ってくれます。

また、解体工事のスケジュールが決まったら、アパート内の家具やゴミの処分、各種インフラの停止を行っておくと、作業がスムーズです。電気やガスの配線・配管の撤去もこの段階で行います。

内部解体

アパートの内部解体作業には1~2週間が必要です。まず、高い所から低い所へと順に作業が進められます。初めに屋根の材料、例えば屋根瓦や屋根ふき材などを取り除きます。高所での作業となり、事故のリスクを下げるためにも手作業で行うケースが大半です。

屋根部分の解体が終わり次第、以下の内部設備や内装材を撤去します。

  • サッシ・断熱材
  • 住宅設備・石膏ボード
  • 壁紙・ドア・畳
  • キッチン・トイレ・風呂の設備
  • 窓ガラス

内装の解体作業も基本的に重機を使用せず、基本的に手作業です。建設リサイクル法の規定に従い、金属・蛍光灯・木材・ガラス製品など、撤去にあたっては廃材を分別しなければなりません。分別も手作業で丁寧に進める必要があるため、時間と手間がかかります。

建物の解体

建物の解体は大きな工事となり、工事期間は建物の種類や構造、大きさ、周辺環境によって変わります。作業の順番としては、内装材の撤去を終えた後、むき出しになった柱や梁などの構造体を解体します。木造の場合は比較的短期間で終わるものの、鉄筋コンクリートや鉄骨の建物は撤去に時間がかかるケースが多く見受けられます。

解体期間の目安は以下の通りです。

木造 10~20日
鉄骨造(S造) 10日~1か月
鉄筋コンクリート造(RC造) 1~2か月

最後に、建物を支える基礎を撤去し、解体工事は終了します。

廃材処分

建物を解体した際に出る廃材は、建設リサイクル法に基づき適切に処分する必要があります。処分にかかる期間は、2週間~1か月程度が目安です。解体で発生したコンクリート・木材・プラスチック・鉄などの廃材は、工事と並行して分別され、産業廃棄物の中間処理場や最終処分場へと運ばれます。

解体工事が終了した後は最終清掃です。敷地に残ったゴミや廃材、地中の埋設物などを適切に処理し、周辺も含め1~2日程度かけて清掃が行われます。解体業者には「マニフェスト」を発行してもらい、適切に処理されるかをチェックしましょう。

なお、万が一不法投棄があった場合に罰則を受けるのは、業者のみです。施主は指示や手伝いなどの関与や不法投棄について見て見ぬふりをしていない限り、罰せられることはありません。

建物滅失登記

解体工事が完了したら、建物の名義人や相続人は「建物滅失登記」の手続きを法務局で行わなければなりません。この手続きは、建物が解体された日から1か月以内という期限が設けられており、解体業者から受け取る「建物滅失証明書」をはじめ、状況に応じた複数の書類が必要です。

滅失登記を怠った場合、以下のようなデメリットが生じる可能性があります。

  • 10万円以下の過料が課せられる
  • 固定資産税が継続して課される
  • 土地の売却に支障をきたす

自分で手続きを行う場合は登記簿謄本の取得にかかる1,000円程度、土地家屋調査士に依頼する場合は3万~4万円程度の費用が目安です。

アパートを解体するタイミング

アパート経営において、建物の維持・建て替え・解体を考える際は、以下の4項目を基準に判断するとよいでしょう。

・築年数

一般的にアパートの耐用年数は30年程度と言われています。耐用年数を超えると、建物の耐久性や耐震性に懸念が生じるケースが少なくありません。特に、築30年を超えた木造アパートは、リフォームだけでは対応できない問題が増える傾向にあります。また、法定耐用年数が終わると税金の面でもデメリットが増えるため、構造ごとの耐用年数に応じて検討するとよいでしょう。ただし、近年は性能が上がっているため40~50年もつ建物も存在しており、メンテナンス次第で耐用年数は変わってきます。

・空室率

空室率が5割以上に至った場合も、建て替えや解体を検討すべきタイミングの1つです。空室が増える主な理由として、建物のデザインや設備の老朽化による、入居者のニーズとの乖離が考えられます。同時に、空室率が高い状態での建て替えは、立ち退き交渉もスムーズな進行が期待できるでしょう。

・維持費用

アパートの経過年数が増すと、修繕費用の負担も増えるのが一般的です。大規模な修繕が必要となり、工事費用が投資に対するリターンを上回るのであれば、建て替えを考えるタイミングと言えます。

・耐震性

築年数が経過していると、耐震補強や改修だけでは不十分となることが考えられます。特に旧耐震基準のもとに建築されたアパートは、耐震性が現在の基準を満たしていないケースが少なくありません。また、木造アパートは築年数が増えると耐震性に不安が生じやすい傾向にあります。安全を第一に考える場合、建物の耐震性を建て替えの大きな指標とするとよいでしょう。

アパートの状態や立地、経済的な側面など、さまざまな要因を総合的に考慮し、最適なタイミングでの建て替えや解体を検討しましょう。

アパートの解体費用をできるだけ安く抑えるには?

アパート解体費用を安く抑えるには、単に「安い」というだけで業者を選ぶのではなく、しっかりとした準備と入念な業者選びが必要です。費用の中にはコストダウンが難しい項目もありますが、正しい知識と方法を持てば金額を抑えられる部分も少なくありません。

ここでは、アパート解体の費用を可能な限り抑えるためのポイントを4つ紹介します。

不用品を事前に処分する

解体工事前に、自分で不用品の処分を済ませておくと経済的です。解体業者に不用品の処分を任せると、家庭ゴミであっても産業廃棄物の扱いとなり、処分費用は高くなります。

特に、蛍光灯・電球・書籍・調味料などは解体業者に依頼すると、自分で処理するよりはるかに高額になるため注意が必要です。なお、エアコン・冷蔵庫・洗濯機・テレビは家電リサイクル法の対象となり、一般の粗大ゴミとしては処分できません。

不用品の処分には以下の方法が考えられます。

  • 家庭ゴミを自分でゴミの日に出す
  • 粗大ゴミは自治体や業者に回収を依頼する
  • 家電やパソコンは量販店やメーカーに回収してもらう
  • フリマアプリやリサイクルショップで不用品を売る

業者によっても不用品や残置物に対する対応が異なるため、サービスの内容を比較して慎重に選ぶことが大切です。

中間マージンを発生させない

解体費用を削減する方法として、「中間マージンを発生させない」ことが挙げられます。中間マージンは、例えばハウスメーカーや不動産会社、大手解体業者などが介在すると発生する手数料です。解体業者に直接発注すると中間マージンをカットでき、解体費用が20~30%安くなるケースも少なくありません。

一方、自分で解体業者との契約を行う場合、以下のような手間や責任が発生します。

  • 解体業者探し・見積もり依頼
  • 現地調査への立ち会い
  • 解体業者との契約締結
  • 工事終了後の現場確認
  • 料金の支払い手続き

対して、中間マージンを支払うことで得られるメリットには、複数社とのやり取りが不要になる点や、トラブル時のサポートが受けられる点が挙げられます。どちらが適しているかは個々の状況に応じた検討が重要です。

解体業者の見積もりをきちんと確認する

解体工事費用の見積もりは、業者によって大きく異なることがしばしばあります。一見、安価に見える見積もりでも、中身を確認しないと予期せぬ追加費用が発生するケースは少なくありません。

見積もりを確認する際は、以下の項目に注目するとよいでしょう。

  • 詳細な見積もり項目と分かりやすい単位・算出方法の提示
  • 塀や庭石など、建物以外の建造物の撤去費用
  • 地中障害物の処理や整地の方法に関する記載
  • 産業廃棄物の処分費用
  • アスベスト除去費用
  • 人件費
  • 室内残置物の撤去費用
  • 税抜きか税込みかの表記
  • 備考・特記事項の妥当性

解体工事会社の選定においては、必ず複数業者から見積もりを取得し、費用内訳をしっかりと比較することが重要です。その際、具体的な内訳が分からない、項目が少ない業者には注意しなければなりません。細かく記載されている見積もりや、工事内容の説明書を提供してくれる業者は信頼性が高いと言えます。

固定資産税のタイミングを考える

解体タイミングをうまく計画すれば、節税も可能です。1月1日までに解体した場合と、1月1日以降に解体した場合で固定資産税の額が変わるため、変動を考慮して解体の時期を決めるとよいでしょう。

家屋が1月1日時点で存在していれば、住宅用地の軽減措置により土地の固定資産税は安くなります。一方家屋がない場合は土地が非住宅用地と見なされ、固定資産税が4倍以上となるケースも珍しくありません。

ただし、アパートを取り壊すことによって建物部分の固定資産税と都市計画税がかからなくなり、結果的に解体後のほうが税金が下がる場合もあります。

解体を検討する際は建物の有無による固定資産税の変動と、建物の「滅失」にあたるのが着工・完工のどちらになるかを確認することが大切です。

アパート解体に利用できる補助金

アパートの解体費用は高額となりやすいものの、自治体の補助金を利用できれば負担を軽減できるかもしれません。空き家やアパートの放置は街の景観を損ねたり犯罪の温床になったりする恐れがあるため、自治体はリスク低減の手段として補助金を提供しています。また、使われていない建物の再活用により、地域の活性化が期待できることも理由です。

ただし、補助金の内容は自治体によって異なる上、一部の自治体では実施していません。利用を検討する際は必ず居住地の自治体に問い合わせを行い、正確な情報を確認しましょう。

ここでは、一般的な補助金の内容を解説します。

補助金・助成金の種類

老朽化や耐震性に問題がある家屋を放置することは、住環境の悪化や近隣住民への危険を招きます。以下は、各自治体が解体や建て替えを促進するために設けている補助金制度の一例です。

・老朽危険家屋解体工事補助金

放置された家屋の中には、長期間の老朽化で倒壊の危険性が高まっているものが少なくありません。老朽危険家屋解体工事補助金は、危険な家屋の解体を促進するために設けられました。解体費用の20~50%程度を補助する制度であり、申請には事前調査が必要となります。

・危険廃屋解体撤去補助金

危険と判断される家屋を解体するための補助金です。周辺住民の安全を保ち、より住みやすい環境を整えるサポートとして導入されています。

・木造住宅解体工事費補助事業

特に木造住宅において、耐震性が不足していると判断された場合の解体費用を一部補助する制度です。また、耐震補強工事の費用も一部サポートされます。木造住宅解体工事費補助事業の対象となるには、建物の耐震性が低いと評価されなければなりません。自治体によっては前年度までに耐震診断を受けておく必要があるため、早めに行動しましょう。

・建て替え費補助金

耐震基準を満たしていない家屋を解体し、新しい住宅を建築する場合の費用の一部が補助されます。ただし、細かい条件は自治体ごとに異なるため、事前に要綱を確認することが重要です。

上記の補助金は、住環境の向上や安全の確保を目的として設けられています。利用を希望する方は、各自治体の詳細な要件や手続きをしっかりと確認してください。

補助金・助成金を受ける条件

空き家取り壊しの補助金・助成金を受ける条件は自治体ごとに異なりますが、多く挙げられている条件は以下の通りです。

・物件の条件

  • 使用されていない空き家である
  • 対象の市町村内に位置する
  • 腐朽破損レベルが基準を超えている
  • 所定の築年数を超えている

・申請者の条件

  • 空き家の所有者である
  • 市税を滞納していない
  • 以前に同様の補助金を受けていない
  • 前年の所得が基準を上回っていない

・工事の条件

  • 空き家全体を解体する
  • 市町村内の業者に発注する
  • 建て替えを目的とした解体工事ではない
  • 年度末までに工事を終えられる

条件には個別の詳細条件や自治体独自の要件が設けられていることも多いため、具体的な対応は居住する市区町村への確認が大切です。

補助金・助成金を受けるための手続き

以下は、補助金や助成金制度を利用する手続きの基本的な流れです。

1 自治体への事前調査を申請
2 自治体の現地調査
3 自治体からの結果通知受領
4 解体業者を選び、見積もり取得から解体完了
5 完了報告書を自治体へ提出
6 自治体による確認・補助金決定通知発行
7 補助金の請求と受領

補助金の申請は、工事の着工前に完了させなければなりません。申請から審査までには数週間かかる場合もあるため、補助金関連の手続きは早めに行いましょう。

アパート解体の注意点

アパートを解体する際には多くのことに気を配る必要があります。費用の問題だけでなく、さまざまなリスクやコストを抑えるための視点も欠かせません。

以下では、アパート解体において特に注意すべき2点を解説します。

近隣にしっかり挨拶をする

近隣トラブルを防ぐためにも、工事前の挨拶は欠かせません。解体工事は騒音や振動、粉じんの飛散など、近隣の生活に影響を及ぼすことが多くあります。義務ではありませんが、関係の悪化を防ぐためにも、解体工事前に業者とともに挨拶へ向かいましょう。事故やトラブルが発生した場合にも、先に工事の説明をしていれば問題の拡大を防げるかもしれません。

挨拶をする際のタイミングとしては、工事開始の1週間から10日前が適切です。最低限挨拶すべきは、解体する建物の向こう三軒両隣と裏の家です。道路の利用などで迷惑がかかる場合、影響がありそうな家すべてを回る必要があります。

挨拶状を用意する場合、以下の点を記載しましょう。

  • 工事へのご協力のお願い
  • 工事の名称
  • 工事の場所
  • 工事の予定期間
  • 作業の予定時間
  • 休業日
  • 施主名
  • アパート解体工事業者名・住所・連絡先・担当者名
  • 伝達事項

必要事項を欠かさず載せておけば、近隣住民が問題を感じた際スムーズに連絡を取れ、ストレスが軽減されます。

各種手続きを忘れないようにする

アパート解体に際して、各種手続きの過程は非常に重要です。手続きを怠ると罰則を受けるケースもあるため、必ず実行しましょう。

【解体前】

  • 役所への「解体工事届出」提出
  • 道路を管轄する警察署への「道路使用許可申請」及び「道路占用許可申請」提出
  • 電気・ガス・電話・インターネット・ケーブルテレビなどのライフラインの停止
  • アスベストを含む家屋の場合、「特定粉じん排出等作業の実施の届出」提出

【解体後】

  • 「建物滅失登記」を法務局へ提出
  • 一定の状況下で「家屋滅失届」を税務課へ提出
  • 土地の価値が失われた場合は「土地滅失登記」を法務局へ提出
  • 水道の停止手続き

必要な手続きは各自治体やアパートの状況によって異なる場合があります。分からない場合は解体業者や各自治体の窓口に相談しましょう。

まとめ

アパートの解体費用相場は建物の構造によっても異なり、延床面積で換算した坪あたりの単価は木造住宅の場合で4万~5万円、鉄筋コンクリート造であれば9万~10万円程度です。また、アパートの立地や重機を使用できるかどうかによっても費用は左右されるため、現地調査と見積もりでしっかりと金額を確認することをおすすめします。

業者によって見積もりに含まれる費用の内訳が不明瞭であったり、安く見えても追加費用が発生したりする場合もあるため注意が必要です。アパートの解体を依頼するときは見積もりを比較し、自分が信頼できると思える業者を選びましょう。

この記事の監修者

白坂大介

白坂 大介

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士 | 宅地建物取引士 | 住宅ローンアドバイザー | 証券外務員1種

経歴

大阪市東淀川区 出身
上宮高等学校 卒業
京都産業大学 経営学部 卒業

2004年
ハウスメーカーへ入社
2008年
ファイナンシャルプランナー取得
2009年
総合保険代理店へ入社
2010年
FP Office Shirasaka 開業
2013年
ジョインコントラスト株式会社 設立

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