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アパート建築で融資を受けるには?アパートローンの審査基準も解説

 
アパート建築で融資を受けるには?アパートローンの審査基準も解説
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アパート建築にはまとまった費用が必要なため、金融機関から融資を受ける必要があります。しかし、新しくアパート経営を始める方の中には、自分は融資を受けられるのか、どのくらいの金額を借りられるのか分からない方も多いでしょう。

当記事では、アパートローンの融資条件や、融資を申し込む際に確認される事項、実際に融資を受ける流れを詳しく解説します。手続きや必要書類についても解説するので、アパート建築を考えている方はぜひ参考にしてください。

アパート建築時に融資は受けられる?

アパート建築時には、「アパートローン」と呼ばれる融資を金融機関から受けられます。アパートローンとは、賃貸用の住宅を建築する際に受けられる事業用ローンです。アパートの購入やリフォームへの利用も認められています。

住宅を建築する際の融資としては、住宅ローンが一般的に知られています。住宅ローンは融資を受ける本人やその家族が暮らすマイホームを対象とした融資であるため、第三者への賃貸を目的としたアパート建築に住宅ローンは活用できません。

住宅ローンとアパートローンの違い

住宅ローンとアパートローンでは、融資の目的や審査基準などに違いがあります。以下は、両者の違いを4つの観点からまとめた表です。

住宅ローン アパートローン
目的 融資を受ける本人やその家族が居住する住宅を建築・購入するため 融資を受ける本人が、第三者に賃貸することを主な目的とした住居を建築・購入するため
金利 低い 住宅ローンよりも高い
審査基準 融資を受ける本人の年収や返済能力が重視される 融資を受ける本人の年収に加え、物件の担保評価や市場性、利回りなどが考慮される
連帯保証人 保証会社などを利用すると、不要となる場合がある 基本的に必要

アパートは個人用の住宅よりも規模が大きく、アパートローンの融資額も高額となります。アパートの収益性といった不確定要素が伴うため、アパートローンは住宅ローンよりも金利が高く設定されており、審査基準も厳格です。

自分自身の住宅を対象とした住宅ローンをすでに組んでおり、新たにアパートを建築する場合も、融資審査に通れば2つのローンを併用して受けられます。

アパート建築での融資条件

アパート建築の資金としてアパートローンを利用する場合、借入期間や返済方法などいくつかの融資条件下で融資を受けることになります。ここでは4つの融資条件を取り上げ、それぞれについて詳しく説明します。

借入期間

アパートローンの借入期間は、融資を受ける方の年齢や資金、アパートの耐久性能や法定耐用年数など、さまざまな要素によって決まります。中でも、法定耐用年数は国税庁により建築物の構造に応じて定められており、借入期間は法定耐用年数よりも短く設定されることが一般的です。

住宅用建築物に対する法定耐用年数は次の通りです。

構造 法定耐用年数
木造や合成樹脂造 22年
木骨モルタル造 20年
鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造 47年
金属造・骨格材4mmを超える 34年
金属造・骨格材3mmを超え、4mm以下 27年
金属造・骨格材3mm以下 19年

出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

法定耐用年数が長い構造の建物を建築すると、一般的に建築費は高くなり融資額も多くなることから借入期間も長くなります。

借入金額

アパートローンの借入可能額は、年収の10~30倍程度が目安だと言われています。住宅ローンは年収の7倍程度と言われているので、アパート建築には高額の融資を受けられることが分かります。例えば、年収600万円の人であれば、6,000万~1億8,000万円程度まで借り入れられる計算です。

ただし、借入可能額にはアパートの収益性がより重要視されます。年収がさほど高くない場合でも、アパートの収益性が高ければ、十分な融資を受けられる可能性があります。

また、借入可能額は借入する金融機関や本人の年齢や職業などによっても異なります。したがって、「年収の10~30倍程度」という数値は、あくまでも目安であると考えてください。

返済方法

返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。

元利均等返済とは、毎月一定の決まった返済額を支払うタイプの返済方法で、アパートローンの一般的な返済方法として採用されています。返済額が一定額なので返済計画を立てやすい点がメリットです。

元利均等返済の場合、返済開始当初は毎月の返済額に占める利息の割合が多く、返済が進むにつれて利息の割合が減っていく仕組みです。そのため、元金均等返済よりも元金の減り方が遅く、結果として返済総額が多くなるというデメリットがあります。

元金均等返済とは、毎月支払う元金を一定額に設定するタイプの返済方法です。毎月の返済では元金に加えて返済時点の残債に応じた利息も支払う必要があり、返済開始当初の毎月の返済額が多い点はデメリットです。しかし、返済が進むにつれて毎月の返済額が徐々に少なくなり、負担が軽減されるというメリットがあります。

金利

アパートローンの金利は、変動金利と固定金利の2つから選べます。

変動金利とは、経済や金融市場の動向に影響を受けて利率が変動する金利です。変動金利で融資を受けると、金利の変動が返済総額にも影響します。返済期間中に金利が借入時よりも低くなれば返済総額は減り、金利が高くなれば返済総額は増えます。

固定金利は、経済や金融市場の動向にかかわらず、利率が固定されている金利です。金利が変動しないため、返済計画を立てやすくなります。固定金利で融資を受けている人にとっては、返済期間中に金利が高くなっても影響を受けないためメリットが発揮されます。

アパートローンにおける金利の相場は1~5%程度です。ただし、金融機関によって金利設定は異なるため、あくまでも目安として捉えてください。

アパートローンで融資を受ける際の審査基準

アパートローンで融資を受ける際は、いくつかの審査基準を満たす必要があります。融資を希望通りに受けるためには、審査基準についての知識を十分に深めた上で申し込むことが大切です。以下では、3つの審査基準について解説します。

物件の資産価値

物件の資産価値とは、物件に備わっている価値を意味します。物件の資産価値を決めるのは、築年数・建築構造・立地・賃料相場・リフォームや大規模修繕の有無といった点です。社会情勢によって資産価値が変動する場合もあります。

物件の資産価値は、金融機関からの借入条件にも影響を与えます。融資の際は、該当物件を担保とするケースが多いためです。資産価値が高い物件ほど担保としての価値は高くなり、融資を受けやすく、借入額も多くなる傾向です。

物件の資産価値は通常、築年数が増えるほど下落します。しかし、立地や建物のデザイン性・住みやすさなどが優れているアパートは、資産価値が下落しにくい場合もあります。高い耐震性など、自然災害への備えを整えることも資産価値を維持するポイントです。

物件の収益性

物件の収益性は、アパートローンにおける重要な審査基準の1つです。毎月滞りなくローンを返済し続けるには、一定の収益性があることが欠かせないため、収益性のない物件に対しては融資を受けられる可能性も低くなるでしょう。

物件の収益性はおおむね、収入と支出から見通せます。収入とは家賃・管理費・更新料など、支出とは物件の建築費用・アパートローンの金利・アパート経営の諸費用などのことです。諸費用には保険料・各種税金・修繕費用・仲介手数料などを含みます。

収益性を高めるには、いかに収入を増やし、支出を抑えるかがポイントとなります。相場に応じた適切な賃料を設定し、不要な支出を省くなど、収益性の高い収支計画を立てて融資審査に臨むことが大切です。

借りる人の資産状況

アパートローンの審査基準においては、借りる人の資産状況が考慮されます。借りる人の年収・勤務状況・金融資産・負債といった社会的や経済的な状況は、「本人の属性」などと呼ばれています。

審査基準として考慮される本人の属性について、主な項目と審査対象や内容を以下の表にまとめました。

審査基準の項目 審査対象や内容
年収
  • 過去3年間の年収
  • 配偶者などがいる場合は世帯年収
勤務状況
  • 勤務先の業種や規模
  • 本人の雇用形態や勤続年数など
金融資産(自己資金)
  • 預貯金額や保有株の有無など
残債や返済状況
  • 負債があれば残債
  • 過去の返済状況や今後の返済計画
家族構成や居住環境
  • 配偶者や同居家族の有無
  • 持ち家か賃貸か
  • 持ち家の不動産評価額
年齢など
  • 借入時の年齢や完済時の年齢
  • 健康状態

アパートローンの融資を受けやすいのは一般的に、年収が高い大手企業に一定期間勤務しているなどで安定した収入があり、金融資産が多い方です。また、一般的には地主や賃貸オーナー、資産家、法人としてアパートローンを受ける方や、頭金を多く準備できる方も融資を受けやすい傾向にあります。

アパート建築で融資を受ける流れ

アパート建築で融資を受ける場合、事前相談から契約に至るまで、おおよその流れが決まっています。ここでは融資を受ける流れを6つのSTEPに分け、各段階で行われる手続きについて分かりやすく紹介します。

STEP1:事前相談 アパート建築を検討している時点で、計画段階の設計図面や事業計画書、自身の資産状況を示す資料などを金融機関に提出し、融資を受けられるかどうかの可能性を確認します。

STEP2:申し込み アパート建築を正式に決め、資金計画を練った後に、設計図面・事業計画書・返済計画・登記簿謄本・公図・源泉徴収票などの必要書類を揃えて申し込みを行います。

STEP3:物件調査・査定 申し込みを受けた金融機関は、自社の査定部門や外部の専門業者に依頼し、該当物件の資産価値や収益性などについて調査・査定を進めます。結果を受けて、物件の評価額が算出されます。

STEP4:事前承認 金融機関は物件調査・査定の結果と、借りる本人の属性などを包括的に判断し、融資の可否や借入可能額を決定します。不動産の売買契約や建築請負契約の成立に先駆けて、融資に関する事前承認を行うことが一般的で、この時点では最終的な融資の確定ではありません。

STEP5:本審査 不動産の売買契約や建築請負契約の契約書、重要事項説明書のコピーといった必要書類を金融機関に提出します。万が一、事前審査と本審査に相違点が見つかると、融資額が減額されたり、融資が受けられなくなったりする可能性があるので注意しましょう。

STEP6:契約 本審査に通過すると融資が承認され、金利や期間などの条件を約定した金銭消費貸借契約を結ぶことになります。物件を担保とする場合、融資は通常、物件の引き渡し日に実行される。

事前承認と本審査の間で、提出物の内容に相違点があると融資が受けられなくなる可能性があります。いずれの段階においても、金融機関に提出する必要書類の作成は正確に行いましょう。

アパート建築で融資を受けるときの必要書類

アパート建築で融資を金融機関に申し込む場合、複数の書類の提出が求められます。必要書類は金融機関により異なり、一律に決まっているわけではありません。申し込みの直前になって慌てないためにも、どのような書類が必要となるか、あらかじめ確認しておくことが大切です。一般的に必要とされている書類は次の通りです。

  • 物件概要書※
  • 売買契約書
  • 重要事項説明書
  • レントロール※
  • 事業計画書
  • 公図
  • 登記簿謄本
  • 印鑑登録証明書
  • 本人確認書類
  • 職務経歴書
  • 所得を証明するもの※
  • すべての借入の返済予定表※
  • 団体信用生命保険申し込み兼通知書等

また、※印のものについては補足として下記で詳しく解説します。

物件概要書

物件概要書とは、物件についての情報を記載した書類です。「物件」には建物と土地を含んでおり、住所・価格・面積・地積・建築構造などの情報が記載されています。物件概要書から物件の状況を把握できるため、不動産売買や不動産投資で重要な役割を果たしています。

物件概要書には決まった書式がなく、個人による作成も可能です。しかし、物件の状況を詳細かつ適切に調べ、正しい情報を記載する必要があるため、不動産会社などの専門家に作成を依頼することが一般的です。

レントロール

レントロールとは、物件の賃貸契約に関する条件をまとめた一覧表です。「家賃明細表」とも呼ばれています。アパートのレントロールには決まった書式はないものの、一般的な記載事項は、部屋ごとの家賃・共益費・敷金・間取り・面積・契約者の属性・契約日などです。

レントロールの記載情報からは、家賃収入や入居状況など物件に関するさまざまな状況を把握でき、物件の収益性もある程度見極めることができます。不動産投資においては、購入を決める判断基準の1つとして捉えられています。

所得を証明するもの

所得を証明できる書類は源泉徴収票・納税証明書・住民税課税証明書など複数あります。個人事業主の場合、確定申告書と青色申告決算書、収支内訳書などを含めた一式で所得を証明します。証明書に応じて取得先が異なるので、取得の際は下記を参考にしてください。

証明書の種類 取得先
源泉徴収票 勤務先
納税証明書 税務署
住民税課税証明書 居住している自治体

住民税課税証明書に関しては、自治体の役所窓口のほか、コンビニエンスストアで取得できる自治体も近年増えています。

すべての借入の返済予定表

返済予定表とは、住宅ローンやカーローンなどの借入に関する情報を記載した書類です。アパートローンの申し込み時点で、過去に借りたローンの返済が現在も残っている場合、すべての借入の返済予定表を提出するよう求められます。

返済予定表に記載されているのは、毎月の返済額・返済額における元金と利息の内訳・残債などの情報です。返済予定表は通常、借入時に発行されたり、金融機関から定期的に郵送されたりする場合もあります。

金融機関ごとのアパートローンの違い

アパートローンを取り扱っている金融機関はさまざまあり、融資条件も多種多様です。借りやすさや金利は金融機関ごとに異なります。以下では、金融機関のタイプを6つに分けて、それぞれの特徴について解説します。

メガバンク

メガバンクとは、三菱UFJ銀行やみずほ銀行、三井住友銀行などに代表される、東京などの大都市に本店を構えている都市銀行や銀行グループです。ほかの金融機関と比較すると、メガバンクはアパートローンの金利を低く設定している傾向です。

全国各地にいくつもの支店があり、融資エリアが広い点はメガバンクを利用するメリットの1つです。ただし、メガバンクは規模が大きく、融資を最終的に承認するまで複数の部署を通すため、融資の審査が比較的長くなります。

また、審査基準においては借りる人の年収や自己資金の額を高めに設定しており、審査自体がほかの金融機関よりも厳しいという特徴があります。

地方銀行

地方銀行とは、各都道府県に本店を構えて営業している金融機関です。ただし、本店を構えている都道府県以外のエリアへ支店進出している地方銀行もあります。都道府県によっては複数の地方銀行が存在しており、「第一地銀」「第二地銀」などと呼ばれています。

地方銀行は、各営業エリア内で融資を行うことが一般的です。複数県に渡って支店進出している地方銀行の中には、融資エリアを広く設けているケースもあります。したがって、アパートの所在地以外の地方銀行を利用することも可能です。

地方銀行は地域経済への貢献を目的としており、アパートローンなどの融資に積極的な地方銀行は少なくありません。借りやすさや金利の高さはそれぞれ異なるため、利用可能な地方銀行をいくつか探し、比較検討することをおすすめします。

信用金庫

信用金庫とは、営利を目的とせず、地域社会の利益を優先した協同組織を指します。出資者である会員や利用者が地域の繁栄のために相互扶助する、という理念を掲げています。個人の場合、信用金庫のエリア内に居住していないと、基本的に取引はできません。

アパート建築に関するローンについても、各信用金庫のエリア内に所在している物件に対して受けられる仕組みです。融資を受けられるエリアは限られるものの、金利が比較的低く設定されている点は信用金庫を利用するメリットです。

不動産融資への積極性や審査基準などは、信用金庫によって異なります。融資の際には柔軟な対応をする信用金庫は多いため、アパートの所在地などの条件が合えば、まずは相談してみることをおすすめします。

ノンバンク

ノンバンクとは、銀行や信用金庫とは異なり、融資業務に特化した金融機関です。具体的には消費者金融や事業者金融、クレジットカード会社などになります。貸金業法と呼ばれる法律下で業務を行っており、利用者が預金口座を開設することはできません。総量規制によって、個人への貸付額は年収の3分の1までと制限されている点も特徴的です。

ただし、融資を使って購入する不動産を担保とする場合には総量規制がかかりません。ノンバンクの審査基準は低く、審査スピードが早い点はメリットです。銀行の審査が通らない物件に対しても、ノンバンクからは融資を受けられる可能性があります。

ノンバンクを利用するデメリットは、ほかの金融機関と比べて金利が高い点です。融資は受けやすいものの、金利が高い分、収益性は低くなります。審査スピードは早く、緊急に資金調達の必要がある場合などに利用できます。

ネット銀行

ネット銀行とは、インターネット上で大半の取引を行える銀行です。実店舗を持たないネット銀行が多く、振込や融資申し込みなどの取引はパソコンや携帯電話で行い、現金引出は一般の銀行やコンビニエンスストアにあるATMを利用します。

アパートローンに準じたローンとして「不動産担保ローン」などの名称で融資を提供しているネット銀行が複数あります。不動産を担保とするローンで、ネット銀行によっては最大1~2億円程度まで借り入れることが可能です。

政府系金融機関

政府系金融機関とは、日本政府が100%出資している金融機関です。アパート建築などの事業用ローンは「日本政策金融公庫」が扱っています。金利が低く、一般の銀行からは融資を受けにくい個人事業主や女性、若年者も利用しやすい点というメリットがあります。

銀行と比較すると、融資上限額が低く設定されているほか、融資期間が短く設定されており、毎月の返済額は高くなる傾向です。したがって、政府系金融機関の利用は、十分な自己資金があり、高い利回りを物件に期待できる場合に適しています。

融資条件の1つとして、「不動産賃貸業としての借入」を挙げている点にも留意する必要があります。賃貸用の物件を対象としているため、投資用としてアパート建築をする人は融資を受けられません。

不動産賃貸業とは、自らが持っている土地や建物などの不動産を第三者に貸し、賃料を得ることを指します。一方で、土地を仕入れて収益物件を建て、満室となったら売却し利益を得る行為は投資用だと捉えられ、政府系の金融機関での融資は難しいでしょう。

アパート建築で融資を受ける場合の注意点

アパート建築の融資に関しては、ちょっとしたポイントを知っておくと、融資審査が有利に進む可能性もあります。ここでは、アパート建築で融資を受ける場合に注意したい点・確認したい点を5つ挙げて解説します。

返済比率が適切か確認する

返済比率とは、アパート経営の家賃収入における返済額の割合を指します。返済比率の数値は、アパート経営の安全性をはかる目安であり、金融機関が審査する要素の1つです。

一般的に、適正な返済比率は50%程度であると言われていますが、これはあくまでも目安であり、金融機関の担当者や専門家と相談した上で決定しましょう。50%とは、一程度の空室率があり、アパート経営に諸費用がかかっても利益が出る状況を想定した数値です。50%以上になると、返済に支障をきたす可能性が生まれます。返済比率が高いと、金利の上昇や空室の発生、大規模な修繕など想定外の出費で返済が滞ってしまいます。返済不能に陥らないよう、返済比率は適切に設定しましょう。

例えば、満室時の家賃収入が200万円で、50%の返済比率である100万円を返済に充てたとします。実際には空室率が10%で、家賃収入の20%を諸費用が占めても、40万円が手元に残り、月々の返済に余裕が生まれます。

ハウスメーカーが連携している金融機関があるか確認する

ハウスメーカーの中には、金融機関と連携している企業が少なからずありますが、ハウスメーカーを通すことで手数料を支払う必要がある点には注意しましょう。手続きの手間が省けるなどのメリットもあるものの、ハウスメーカーが用意するローンが必ずしも「おトク」であるとは限りません。返済が始まってから不利な点に気づくケースもあります。

アパートローンで後悔しないためにも、ハウスメーカーが提携している金融機関を紹介された場合も提案を鵜呑みにするのではなく、しっかり比較検討することが大切です。信頼できる専門家に相談したり、ご自身できちんと金利や手数料の確認などを行ったりして実際に利用するローンを決めましょう。

複数の金融機関に相談する

銀行によって、物件評価の得手不得手や審査基準は千差万別です。アパートローンを大々的に宣伝していなくても、積極的に融資をしている金融機関もあるため、まずはさまざまな金融機関に融資の相談をしましょう。

例えば、1つの金融機関では融資の申し込みが通らなくても、別の金融機関では融資を受けられる可能性もあります。同じ物件に対する借入可能額が金融機関によって違ったり、同じ金融機関でも支店によって融資可否の結果が異なったりする場合もあるでしょう。

できるだけ有利な条件で融資を受けるためには、複数の金融機関に相談し、比較検討してから決断することが大切です。

自分の属性を引き上げる

年収や職歴といった属性が高かったり、自己資金が多い場合などは、融資を受けやすくなります。融資を申請する前にできるだけ自分の属性を引き上げることをおすすめします。

例えば、すでに借りているローンはアパートローンを申し込む前に完済したり、不要なクレジットカードは解約したりするよう努めてください。負債をできる限り減らすことで、返済能力を引き上げられます。

自己資金を多く準備し、借入額を少なくすることも有効な手段です。不動産投資や不動産経営の実績があると、金融機関の審査に通りやすくなる傾向です。時間はかかるものの、小規模な物件から実績を作り上げていくと、属性を引き上げられます。

団体信用生命保険の加入について

団体信用生命保険とは、契約者が高度障害を負ったり死亡したりして、アパートローンの返済が困難となる事態に備えた保険です。返済途中のアパートローンを保険がカバーし、遺された家族が負債から解放される点は加入のメリットです。

各保険会社は、契約者が高度障害を負ったり、死亡したりした際の基本プランに加え、三大疾病保障やがんに対する特約などを用意しています。基本プランの保険料は通常、借入金利に含まれており、アパートローンの残高が保障額に相当します。

ただし、団体信用生命保険には最終返済時の年齢制限があるため、条件に合わない方は利用できないこともあるので確認が必要です。アパートローンは金額が住宅ローンよりも高額になることが多く、団体信用保険に加入した場合の負担も大きくなることに注意しましょう。

まとめ

アパートを建築するときは、金融機関のアパートローンを利用できます。アパートローンでは、物件の資産価値や収益性も確認されるので、審査を受けるときは収益計画をしっかり立てて臨みましょう。

また、アパートローンでは借入期間や金額、返済方法などを検討する必要があります。金融機関の担当者や専門家と相談しながら、返済比率が高くなりすぎないように注意し、無理のない返済計画を立てることが大切です。

この記事の監修者

白坂大介

白坂 大介

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士 | 宅地建物取引士 | 住宅ローンアドバイザー | 証券外務員1種

経歴

大阪市東淀川区 出身
上宮高等学校 卒業
京都産業大学 経営学部 卒業

2004年
ハウスメーカーへ入社
2008年
ファイナンシャルプランナー取得
2009年
総合保険代理店へ入社
2010年
FP Office Shirasaka 開業
2013年
ジョインコントラスト株式会社 設立
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