不動産投資で新築アパートを経営するメリットは?投資の注意点も解説
不動産投資の中でも、新築アパートは賃貸市場において人気の高い投資方法です。空室リスクが低く、中古アパートより修繕費も抑えられるものの、投資を成功させるには、市場の理解・立地選定・財務計画など、慎重な検討が必要です。
この記事では、新築アパート投資に興味がある方に向けて、メリットやデメリット、他の不動産投資方法との違いなどを分かりやすく解説します。不動産投資を成功させるための戦略について知識を深めましょう。
目次
新築アパート投資とは?
新築アパート投資とは、新築のアパートを1棟購入または建築して賃貸用に貸し出す不動産投資の形態を指します。下記の2つの定義をどちらも満たす物件のみが、新築アパートに当てはまります。
- 建設工事の完了から1年以内である
- 一度も居住用として利用されていない
出典:e-Gov 法令検索「平成十一年法律第八十一号 住宅の品質確保の促進等に関する法律」
新築アパート投資では、月々の家賃収入を通じて、購入や建築にかかった費用を回収します。アパート投資を始める方法はいくつかありますが、代表的なのは以下の4つです。
- すでに持っている土地に新しくアパートを建てる
- 新たに土地を購入してアパートを建てる
- 新築アパートの建売物件を購入する
- アパートを建て替える
自分でアパートを建てる場合は土地や建物の設計・間取りの自由度が高く、建売を購入する場合は建築にかかる手間が省けるなど、各方法によってもメリットはさまざまです。
どの方法を選択するかは、投資家の状況や目標によって異なります。新築アパート投資を検討する際は、信頼できる不動産会社と相談し、自分の環境や投資計画に合った方法を選ぶことが重要です。
新築アパートに投資するメリット
新築アパートへの投資は、投資家にとって利益を出しやすい選択肢となっています。理由としては、「空室リスクの低さ」「維持費の抑制」「自由度の高い運用」「ローン審査の優位性」「将来的な売却の容易さ」などが代表的です。
以下では、新築アパートに投資するメリットを5つ解説します。
空室リスクが低い
新築アパート投資の大きなメリットの1つは、空室リスクが低い点です。新築アパートは中古アパートと比べても借りる側からも人気が高く、入居者を見つけやすい傾向にあります。新しい設備や最新のデザインは入居者にとって魅力的な上、しばらくの間は経年劣化に関する心配もほぼありません。空室が発生しにくいことで家賃の値下げや入居条件の緩和などをしなくてよいため、結果として家賃収入の安定につながります。
また、新築アパートはリフォームや広告費用など追加コストが抑えられることもあり、効率的な運営が可能です。新築アパートへの投資は、空室による収入減少のリスクを軽減し、安定したキャッシュフローを期待できる選択肢と言えます。
維持費や修繕費を少なく抑えられる
アパートの経営において、主に以下のようなランニングコストがかかります。
- 共用部の光熱費用
- 原状回復費用
- 補修費用
- 修繕積立金
- 大規模修繕費用
- リフォーム費用
- 不動産会社への広告料・賃貸管理料
- 保守点検・清掃費
- 固定資産税・都市計画税
- 損害保険料
- 借入金の返済
- 税理士費用
建物や設備が新しい新築のアパートは設備の故障や破損のリスクが低く、短期間で大きな修繕費が発生することは滅多にありません。また、保証期間内であれば、施工会社などが無償で修理や交換してくれるケースもあります。
そのため、新築アパートは中古アパートに比べて維持費や修繕費を大きく抑えられ、新築から当面の間は安定した収益を期待できるでしょう。建物の状態がよいというだけでも入居者にとっては魅力的な物件であり、良好な入居率を維持しやすくなるというメリットもあります。
自由度が高い
新築アパート投資では、立地の選定や設備、間取りなどにおける自由度が非常に高い点も大きなメリットの1つです。アパートの入居率を高く保つには、そのエリアのアパート需要や、間取り・設備の魅力の高さが重要となります。新築アパートの場合、「入居者の需要が見込める立地か」「人気のある間取り・設備を整えられるか」などを確認した上での投資が可能です。
建築から関わる場合は特に、競合物件との差別化を図りつつも希望するデザインや設備を自由に選び、入居率の高い物件を目指せるでしょう。新築アパートへは時代の変化に応じて柔軟に対応しやすく、入居者にとって魅力的な物件を提供しやすい点が特徴です。
ローン審査に通りやすい
新築アパートへの投資で組むローンの審査では、個人の信用情報や資産状況に加え、アパートの収益性が重要な判断基準の1つになります。
新築アパートの場合、設備の新しさや立地のよさから収益性が高いと評価されやすい傾向にあります。入居者からの需要が高いアパートであれば、長期にわたって安定した家賃収入を見込めると金融機関が判断するためです。
また、新築であれば直近で大規模な修繕が不要とされる点も、資金繰りの安定性を高める要因として評価されます。収益性が見込める新築アパートへの投資は、融資を受けやすい環境が整っていると言えるでしょう。
売却しやすい
アパートで収益を上げる方法として、物件の貸し出し以外に1棟を丸ごと売却し売却益を得る方法があります。不動産は築年数が経過するほど資産としての価値が下落し、需要だけでなく売値も下がっていくのが一般的です。また、アパートの資産価値が下がると買い手がローンを組みづらくなることもあり、売却までに長い時間を要する場合もあります。
しかし、アパートの築年数が浅いうちに売却を検討した場合は、比較的早期に買い手が見つかるケースが少なくありません。設備の新しさやデザインの現代性は、入居者だけでなく買い手にとっても魅力的に映ることが多く、収益性の高いアパートであればキャピタルゲインも得られる可能性があります。
新築アパートに投資するデメリット
新築アパートへの投資には、確かに多くのメリットがあるものの、デメリットの存在も知っておきましょう。投資を成功させるためには、これらの問題に対しても十分な注意を払い、適切な対策を講じることが必要です。
以下では、新築アパートに投資する4つのデメリットについて解説します。
入居率を予想しにくい
中古アパートの場合、過去の入居状況から収益性をある程度予測することが可能ですが、初めて市場に出る新築アパートには参照すべきデータが存在しません。そのため、どの程度の入居率を達成できるのかを正確にシミュレーションするのは不可能です。
入居率を算出する際は、投資する前に周辺のエリアや類似の条件を持つアパートのデータをもとに、推測する必要があります。このような不確実性は、新築アパート投資を検討する際に考慮すべき重要なデメリットの1つと言えるでしょう。より多くの情報を収集しつつ信頼できる業者の意見を参考にするなど、さまざまな手段を駆使することでリスクを下げられます。
運用開始までに時間がかかる
新築アパートへの投資では、運用開始までに長い時間がかかる点がデメリットとして挙げられます。特にアパートの建築を計画から始める場合、土地選定から設計・建築、そして入居者募集までには、概ね1年から1年半程度の時間を見積もらなければなりません。建築会社のスケジュールや建物規模によっては、さらに工期を必要とする場合もあるでしょう。
中古アパート投資と比較した場合、新築アパートは即時に収益を上げることができず、収益化までのタイムラグが生じる点を理解しておくことが大切です。このように、建築に伴う長期間の準備が必要になり、投資の回収に時間がかかるのは新築アパート投資のデメリットと言えるでしょう。
毎月の返済額が多くなる
新築アパートは物件価格が高くなる傾向があり、それに伴いアパートローンで借り入れる金額も大きくなるのが一般的です。そのため、毎月の返済額が中古アパートと比較して多くなるのは、1つのデメリットと言えるでしょう。
特に、空室が発生した場合や家賃収入が想定よりも少なくなった場合には、返済の負担が一層重くなる可能性があるため、事前のキャッシュフロー計画は非常に重要です。また、固定資産税や将来的に必要となる大規模修繕にかかる費用なども考慮しなければなりません。
したがって、新築アパートへの投資を検討する際はローンの返済計画を十分に練り、頭金を多くするといった借入額を減らす工夫が大切です。
家賃の下落に備える必要がある
アパートに限らず、賃貸物件は築年数が経過するにつれて家賃が下落していくケースが大半です。特に最初の入居者が退去した直後は、「新築」という付加価値がなくなるため、家賃が変動しやすいでしょう。
したがって、新築アパートに投資する際は、将来的に家賃が下がることを前提としたキャッシュフロー計画を立てることが重要です。適切な修繕やメンテナンスを行えばある程度家賃下落は抑えられますが、物件の経年による価値低下自体は避けられません。周辺の中古アパートの家賃相場を参考に10年後、20年後の家賃水準を予測し、収支計画に反映させるのが賢明でしょう。
想定通りのアパートが建てられない可能性がある
どのようなアパートを建てられるかは、土地や工事を依頼する施工会社によって異なります。
土地には、建物の面積に対する制限や、高さ制限など法律による建築規制が設定されているため、青写真で計画していたアパートが建てられないというケースもあります。土地を購入するときは、建ぺい率や容積率など、建築に関する法令や規制などを必ず確認しましょう。
また、設計力や施工品質においても、建築会社によっても様々です。コスト面を重視したことによりイメージ通りのアパートが建てられず、後悔につながる可能性もありますので、設計や工事を依頼する会社の選定は注意が必要です。
他の不動産投資方法との違いは?
不動産投資の世界には、新築アパート経営以外にもさまざまな投資方法があります。投資家の状況や目標によって適した選択肢が異なるため、自分にとって最適な不動産投資方法を見極めることが大切です。
以下では、新築アパート投資と他の不動産投資方法の違いを、それぞれの特徴やメリット・デメリットを踏まえて解説します。
中古アパート投資
中古アパート投資は、中古のアパートを購入し賃貸物件として運用する方法です。新築に比べると安価な物件も多いものの、老朽化による修繕費の増加や入居者が集まりにくいなどのデメリットもあります。
新築アパート投資と比べた場合の主なメリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
- 物件価格が安く、初期投資が抑えられる
- 高利回りを期待できる物件もある
- オーナーチェンジの場合、すぐに家賃収入を得られる
- 過去の実績から収支予測が立てやすい
- 価値が大幅に下落しにくい
【デメリット】
- 老朽化による修繕費の支出が増える
- 新築に比べ入居者の入れ替わりが多く、空室リスクが高い
- 融資審査が厳しくなりやすい
- 運用期間が長くなると売却が難しくなる
- 入居者同士のトラブル・近隣住民とのクレームなどが多い可能性がある
中古物件は投資額が抑えられるため、うまく運用できれば高利回りが見込めるというメリットがある一方、建物の経年劣化に伴うデメリットも大きくなります。中古アパートへの投資を検討する際は、利回りの高さだけでなく、将来にわたる維持費用や管理の手間も考慮に入れましょう。また、購入するアパートに人間関係の問題がないかどうか、オーナーや管理会社に確認することも大切です。
区分マンション投資
区分マンション投資とは、マンションの一部屋または複数の区画を購入し、賃貸経営することで家賃収入や売却益を得る投資方法です。アパートに比べると自己資金が少なくても始められるため、不動産投資の入り口として人気があります。
新築アパート投資と比べた場合の主なメリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
- 初期投資額が比較的少額で済む
- 分散投資が可能で、リスク分散ができる
- 立地のよい物件が多く、空室リスクが低い
- 管理の手間が少ない
【デメリット】
- 1室しか所有していない場合、空室時は家賃収入がゼロになる
- 物件によっては管理費や修繕積立金を負担する必要がある
- 運用方針にオーナーの意思を反映しにくい
- 他の部屋の家賃設定やトラブルの影響を受けやすい
区分マンションは立地がよければ空室リスクも低いものの、1物件当たりの収益性は限定的です。また、分散投資を行えばリスクヘッジができる半面、管理コストも増えていくため、黒字化しづらい点に注意が必要です。
新築一棟マンション投資
新築一棟マンション投資とは、所有する土地、もしくは土地を取得し、マンションを一棟丸ごと建築して賃貸に回す投資方法です。
新築アパート投資と比べた場合の主なメリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
- 建物の性能と耐久性が高く、長期保有に適している
- 高層建築が可能で多くの戸数を確保でき、潜在的な収益性が高い
- 立地のよい物件であれば、家賃水準を高めに設定できる
- 築浅物件は入居者需要が高く、空室リスクが低い
【デメリット】
- 建築コストが高額で、多額の初期投資が必要となる
- エレベーターなど共用部分の維持管理費用がかさむ
- 用途地域の制限などにより建築できる土地が限られる
マンション経営は、アパートと比べ建物の質や賃貸ニーズの高さから家賃収入が見込めるものの、建築・メンテナンスのコストが高額になります。新築一棟マンション投資では、長期的な視野での戦略立案と運用計画の綿密な検討がより不可欠と言えるでしょう。
一戸建て投資
一戸建て投資とは、一軒家を購入または建築し、賃貸経営することで家賃収入を得る投資方法です。
新築アパート投資と比べた場合の主なメリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
- 初期投資額が比較的少額で済む
- 狭い土地でも運用できる
- 長期的な入居が見込めるため、安定した家賃収入が期待できる
- ファミリー層の需要が高く、入居者の確保がしやすい
- 管理が比較的容易で手間が少ない
- 将来的に入居者に売却できる可能性がある
- 庭や敷地内の手入れは入居者が行うため、共有スペースの管理をしなくてよい
【デメリット】
- 空室リスクが高く、空室時は家賃収入がゼロになる
- 大規模修繕やリフォームの費用負担が大きい
- 融資を受けづらい
- リフォーム費用が高くなることがある
一戸建て投資は少額の投資から始められるメリットがある一方、空室リスクが高く、投資規模の拡大が難しいというデメリットもあります。特に郊外の立地の場合は入居者のニーズが低下しがちで、空室リスクや将来の売却時に不安があります。投資の採算が取れる立地の選定と、長期的な需要予測が重要です。
新築アパートへの不動産投資が向いている人の特徴
新築アパートへの不動産投資は初期投資額が大きく、空室リスクや資金計画など一定の難易度がある一方で、長期的に安定した収益が見込めるメリットもあります。では、新築アパート投資で成功しやすいのは、どのような人なのでしょうか。
以下では、新築アパート経営に向いている人の特徴を4つ解説します。
手軽にアパート経営を始めたい人
新築アパート経営は、不動産投資の初心者でも手軽に始められる投資方法です。初期費用はかかるものの、新築物件ならば修繕やメンテナンスの手間が少なく、入居者も確保もしやすい傾向にあります。また、管理会社に日常の運営を一括で委託すれば、経営面でも手間がかかりません。
新築アパート経営は、不動産経営の経験がない人でもローリスク・ミドルリターンの投資として、比較的ストレスなく始められる点が最大の魅力です。「不動産投資に興味はあるが、具体的な運営方法やリスクについて不安を感じる」という人に向いています。
長期的にアパート経営を行いたい人
新築アパートは中古に比べて建物の残り耐用年数が長いため、長期的な安定収入が見込める投資対象です。構造によっても差がありますが、経年劣化による修繕費の発生も予測して対策しておけば、長期にわたり安定した収入が期待できます。
また、新築アパートの場合は減価償却の適用期間も長く、節税効果を長期間享受することが可能です。減価償却費を経費に計上すれば、他の不動産所得や給与所得と損益通算でき、所得税の負担が軽減される可能性があります。長期的な安定収入が見込めることに加え、節税効果を得られる期間も長いため、時間をかけて着実な資産形成を実現したい方に合った投資方法と言えるでしょう。
自己資金が少ない人
新築アパートへの投資は、自己資金が少ない人でも始めやすい投資方法です。新築アパートはアパートローンの審査が比較的通りやすい傾向にあります。物件の資産性が高いため、自己資金の用意が少なくても融資が受けられることが一般的です。
また、中古アパートの場合は既に老朽化が進んでいるため、購入直後に思わぬ修繕費用が発生するリスクがあります。一方、新築物件であれば、購入後すぐに大きな追加費用が発生するリスクがほぼありません。自己資金が少ないが資産形成を目指したい、少ない初期投資で不動産投資を始めたいと考えている人には、新築アパート投資が現実的な選択肢と言えるでしょう。
アパートを建てる土地を持っている人
すでに所有している土地がある場合、新築アパート経営は有効な土地活用方法の1つです。土地購入費用がかからないため、建築費用のみでアパート経営をスタートできます。土地の活用方法は駐車場をはじめトランクルームの経営などさまざまにありますが、収益の安定性や節税効果の面から見ても、新築アパートは優れた手段と言えるでしょう。
ただし、アパート経営を成功させるには、所有している土地が賃貸市場において需要がある立地かどうかを検討する必要があります。たとえば、「交通の便がよい」「商業施設が近い」など、入居希望者にとって魅力的な条件が必須です。立地や市場の需要に不安がある場合は、他の土地活用方法も検討するとよいでしょう。
新築アパート投資の失敗例
新築アパート投資には失敗例もあるため、注意しましょう。投資に失敗する理由として多いのが、以下の3つです。
・利回りだけに着目してしまった
利回りは重要な指標ですが、高利回りの物件は運営の難易度が高いことがあります。建築費を抑えるために実際の入居者のニーズを満たしていないケースや、賃貸需要が減少しているエリアであるにも関わらず満室時の利回りのみを提示しているケースなどです。空室率なども考慮した現実的な利回りで評価することが重要です。
・立地条件が悪かった
「交通の便が悪い」「周辺環境が悪い」など、入居者が求める条件を満たしていない土地は安価で手に入る反面、高い入居率は期待できません。リスクとリターンのバランスを見誤ると、収益性の低いアパートへの投資につながります。
・返済能力に見合わないローンを組んでしまった
自分の返済能力を過大評価して大きなローンを組んでしまうと、思ったように収益が上がらなかった場合に残りの返済が困難になります。特に新築アパートは初期投資が大きいため、特に注意が必要です。
・入居者のニーズに合った仕様ではなかった
賃貸需要やターゲット層について調査や分析をせず、好みのデザインや好き嫌いで建物を造ってしまったり、需要のある設備を設置しないアパートにしてしまったりすると、思うように入居者が集まりません。新築アパート投資を成功させるためには、需要のある間取りや入居者のニーズをしっかり把握する必要があります。
不動産投資を行う際は、利回りだけでなく、立地や自分の返済能力を考慮した上で慎重に判断しなければなりません。また、新築アパートは中長期の運用が前提であるため、短期間での収益化を期待しすぎないことも大切です。
新築アパート投資を成功させるためのポイント
新築アパート投資で成功を収めるためには、投資計画の立案から実行、管理に至るまで、投資の各フェーズにおいて適切な戦略と行動が必要です。
以下では、新築アパート投資を成功させるポイントを6つに分けて紹介します。
アパートの需要を徹底的に調べる
アパート経営の成功のカギは、対象とする地域における賃貸需要の徹底調査です。賃貸需要が高いエリアであれば安定した経営が見込めますが、需要が少ないエリアでは長期間の空室リスクなどが生じる可能性もあります。
まずは、その地域で求められている物件の種類や間取り、賃貸価格などの詳細情報を把握しましょう。また、地域の人口動態や経済状況、近隣の競合物件の状況なども重要なファクターです。
基本的な情報は不動産会社の有料・無料相談をはじめ、賃貸物件のポータルサイトや統計局、自治体のホームページなどから得られます。直接現地に赴き、自身の目で見て回るのもよいでしょう。この情報を基に、入居者が求める条件を満たした物件を提供できるかを検討することが大切です。
入居者のターゲットをはっきりさせる
アパート経営の成功には、入居者のターゲットの明確化も不可欠です。ターゲット層に合わせた設備やサービスを提供することで競合よりも有利となり、安定した収益を得ることが可能になります。たとえば、大学近くの物件であれば学生向けの設備として、コンパクトな間取りで家賃を抑えつつ、インターネットを完備するなどです。
ファミリータイプの入居者をターゲットにする場合は、子育て支援施設が近くにあったり公園が徒歩圏内にあったりするとよいでしょう。ターゲット層が高齢者であれば、バリアフリー設計や緊急時の対応サービスなど、その年齢層特有のニーズに応える設備やサービスを提供する必要があります。
現実的な収支計画を立てる
アパート経営において、現実的な収支計画の立案が不可欠です。収支計画には建築費や運営費、予想される収入だけでなく、長期にわたる修繕費や空室リスクも考慮する必要があります。特に「新築プレミアム」が消え、家賃が市場価格に落ち着いた際の収益性を見極めることが重要です。
また、10~15年ごとの大規模修繕に備えた計画的な積み立ても欠かせません。予期せぬ出費に対応できる余裕を持たせた収支計画が、長期にわたるアパート経営の成功へとつながります。将来的なリスクへの対応策をしっかりと盛り込んだ収支計画を作成しましょう。
余裕のある資金計画を立てる
アパート経営では、空室リスクや修繕費の発生など、経営開始後も資金の需要が見込まれます。そのため、余裕のある資金計画を立てておかなければなりません。
ある程度の手元資金も確保しつつ、借入金と自己資金のバランスを考えなければいけません。すぐに使える現金が少ないと空室時のローン返済や緊急修繕費の捻出が難しくなりますが、手元資金が多ければフリーレントなどの対策も講じやすくなります。
金利タイプや返済方式、工事期間中の利払いなど、ローンの内容を慎重に比較検討することも大切です。長期的な視点で、不測の事態に対応できる余裕を持たせた資金計画を立てましょう。
リスクを最小限に抑える
アパート経営において、リスクを最小限に抑えることが経営の安定に直結します。空室や修繕が必要になるリスクはもちろん、自然災害に備えた火災保険や地震保険への加入も重要です。特に、日本のようにいつ地震が起こるか分からないところでは、地震保険の付帯が欠かせません。入居者にも火災保険への加入を促し、物件全体のリスク管理を徹底しましょう。
将来的な出口戦略やコスト回収計画の立案、賃料の柔軟な変更対応などもリスクを軽減する上で有効な手段です。経営開始前のしっかりとしたリスク評価と対策計画の準備により、長期的な安定経営が可能になります。
信頼できる業者を選ぶ
アパート経営を成功させるには、信頼できる建築会社と管理会社の選定が重要です。建築会社選びでは、綿密な市場調査を基にした提案や、コストパフォーマンスの高い建築プランの提供能力を重視しましょう。
管理会社選びではメンテナンス品質や入居者対応力、クレーム処理の手際など、総合的な管理サービスの質を重視する必要があります。できれば物件立地エリアに精通し、地域密着型の情報やノウハウを有する管理会社に委託するのがベストです。いずれも複数の業者から提案を受け、業歴や実績、専門家の在籍などさまざまな観点から慎重に吟味し、長期的に信頼できる業者を探しましょう。
まとめ
新築アパート投資は安定した収益を期待できる一方で、入居率の正確な予測が難しく、運用開始までの時間がかかってしまうなど、慎重に考えるべき課題もあります。投資に成功するためには、市場のニーズを理解し、ターゲットを明確にした上で、現実的な収支計画を立てましょう。
また、信頼できる業者選びも成功のカギです。新築アパート投資は、適切な準備と戦略をもって臨めば、不動産投資における有力な選択肢の1つになります。
この記事の監修者
白坂 大介
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士 | 宅地建物取引士 | 住宅ローンアドバイザー | 証券外務員1種
経歴
大阪市東淀川区 出身
上宮高等学校 卒業
京都産業大学 経営学部 卒業
- 2004年
- ハウスメーカーへ入社
- 2008年
- ファイナンシャルプランナー取得
- 2009年
- 総合保険代理店へ入社
- 2010年
- FP Office Shirasaka 開業
- 2013年
- ジョインコントラスト株式会社 設立